2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13838
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花咲 徳亮 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70292761)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 熱電変換 / 無機物質 / 有機分子 / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱電変換効果の変換効率を向上させるには、ゼーベック係数および電気伝導率を向上させるとともに、熱伝導率を低減させる事が有効である。熱を伝達させるフォノンを散乱する上で、ラットリングを活用する事が有効である。有機分子には様々な分子内振動があり、これらのモードを活用できれば、熱伝導率の低減に有効である。本研究では、無機層状物質に有機分子を挿入する事を試みた。昨年度の研究によってSnSe2という無機化合物に有機分子を電気化学的に導入する事に成功していた。合成した試料について電気伝導率とゼーベック効果を測定したが、電気伝導率の向上とゼーベック効果の低減を観測し、確かに有機分子の導入によってキャリアが注入された事が分かった。電気抵抗率およびゼーベック係数の温度依存性も半導体的な振る舞いから金属的になった。次に熱伝導率の測定を行った。その温度依存性は降温とともに増加し20Kを境に減少するものであった。有機分子ヘキシルアミンの導入によって導入前よりも熱伝導率が3割ほど減少する事が分かった。通常、キャリア数が増加すると電子伝導による熱伝導率が増加するため、全熱伝導率も増加するはずである。電気伝導による熱伝導率の増加分よりも格子熱伝導率の減少分が大きかったためと考えられる。ヴィーデマン・フランツ則を仮定して、電気伝導率から電子による熱伝導率を計算し、熱伝導率を割り出した。その結果、有機分子の導入によって格子の熱伝導率は5割ほど減少する事が分かった。有機分子がフォノンにとって効果的な散乱体になっていると考えられ、有効性が示された。また無次元熱電性能指数は1桁向上した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱電材料として有望な無機物質に有機分子を導入する事で、格子の熱伝導率を減少させる事ができたので。
|
Strategy for Future Research Activity |
熱伝導率を測定して、無機物質に有機分子を導入する事の有効性が示せた。今後は、有機分子の導入量を精密に制御した試料を作製し、有機分子の導入効果について精査していく。
|
Causes of Carryover |
ある程度他の予算(運営費等)で賄う事ができたため、2017年度は使用額が減少した。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] A new strategy for inducing dipole moments in charge-transfer complexes: introduction of asymmetry into axially ligated iron phthalocyanines2017
Author(s)
Masaki Matsuda, Sayaka Iwamura, Yumi Hamada, Hiroko Ohishi, Miki Nishi, Yoshio Nogami, Mitsuo Ikeda, Akinori Kanda, Yusuke Funasako, Tomoyuki Mochida, Akiko Nakao, and Noriaki Hanasaki
-
Journal Title
Dalton Transactions
Volume: 46
Pages: 11800-11805
DOI
Peer Reviewed
-
-