2016 Fiscal Year Research-status Report
負の宇宙項をもつアインシュタイン方程式乱流・特異性の古典乱流力学からの研究
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16K13850
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 剛 京都大学, 理学研究科, 助教 (20346076)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古典乱流のカスケード / スケーリング則 / 偏微分方程式の爆発解 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般相対論の結果として得られる古典重力場の方程式について、近年のゲージ重力対応(AdS/CFT対応)の結果、さらに多様なものが考察されるようになってきた。 そのなかでも特に、空間依存性を低次元に固定して時間発展が正確に数値シミュレーション可能な方程式系が理論的なミニマルモデルとして盛んに研究されるようになってきた。 この負の宇宙項をもつアインシュタイン方程式の数値的研究の結果、数値解が乱流的になることが報告されている。具体的には、数値解が過渡的ではあるがスケーリング則を示すこと、また古典乱流と類似の非線形性由来の特徴的なモード間の輸送現象(保存量の乱流カスケード)があると考えられている。 本年度の目的は、最初に、この先行研究で行われた乱流的な解の数値シミュレーションを追試することである。追試の主眼は、この新奇的な乱流解の特徴を、古典ナビエ・ストークス乱流の解析方法や古典波動乱流(wave turbulence)の解析方法を用いて、古典的な乱流力学の視点から捉え直すことである。また、乱流解は自発的に有限時間で無限大に発散するとも考えられており、この発散的な振る舞いと乱流のスケーリング則の関係についても考察をおこなう。 そこで本年度は、先行研究のうち差分法をもちいた数値シミュレーションの実装方法を踏襲することで乱流的な数値解の追試を行った。この数値解は一定時間後に発散的な振舞を示すことから、数値解法の詳細な点が数値解の安定性(例えば、数値的な発散が生じるまでどの程度長時間計算できるか等)に影響すると考えられる。このためこの追試では、境界条件の実装方法などの技術的な点についても、先行研究の文献記述に可能な限り忠実に行った。しかしながら、先行研究と満足に一致する結果が得られていない。この原因について現在考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究の数値シミュレーションで得られた乱流的な解を、先行研究の報告とほぼ同等な量と質で追試的に得ることが本研究の最初の目的である。本研究ではそこまで至っていない。その原因は、この解を長時間にわたってシミュレーションすることが難しい(数値的に不安定である)ため、本研究と先行研究のシミュレーション手法の実装の小さい差であろうと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
先述した、先行研究との一致が満足できるものでない点を克服するためには、先行研究のシミュレーション手法の実装の小さい差をなるべくなくすことがまず考えられる。特に、実装の詳細な点については、同等の数値精度をもつ方法が複数個考えられるため、これらをひとつひとつためすことが考えられる。 この一方で、実はこのような数値的に不安定な解については、数値手法がもつ数値粘性などの影響も大きく、先行研究との一致を求める水準を高く置く必要はないかもしれない。 さらに、差分法とは異なるスペクトル法を用いた独立な先行研究もあるため、こちらの方法との比較検討をおこなうことも予定している。
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Causes of Carryover |
数値シミュレーションの結果データの保存等を目的として計算機環境構築に関する計算機技術の協力を謝金業務として予定したが、今年度はその必要が生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度にそのような業務を予定している。
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