2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13877
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
桑野 修 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 数理科学・先端技術研究分野, 研究員 (30511969)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摩擦 / 地震 / 温度計測 / その場観察 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の地震時の断層運動に匹敵するすべり速度1m/sオーダーで行われた高速摩擦実験から、地震時の高速すべりでは摩擦発熱が引き起こす様々な物理的過程により断層の摩擦抵抗が大きく低下することが示唆されている。本研究では高速すべり(1m/s)まで実現できる回転式摩擦試験機を用いて摩擦実験を行い、高い時間空間解像度の摩擦面その場観察によって、摩擦接触面の接触点分布、温度分布と巨視的な摩擦抵抗との間の定量的関係式の確立を目指す。平成28年度は摩擦面のその場観察をするための試料ホルダーの設計・製作と光学系の選定をした。実験試料としては、関与する物理過程をシンプルにし、さらに剪断面の観察を可能にするために、透明な石英ガラスを用いた。実験では回転式剪断試験機の回転側に外形10mmの円柱状の石英ガラスを取りつけ、これを一定垂直荷重のもとで固定側の試料ホルダーに取りつけた石英ガラス板に押しつけて回転させる。円柱試料と板状試料との間の摩擦接触面は、板試料の接触面と反対側の面から、試料ホルダー下部に取りつけた超広帯域ミラーを通して光学的に観察した。すべり速度1m/sの高速せん断実験で、摩擦面の発光を確認した。モノクロ高速度カメラによる毎秒1000フレームの撮影を実施し、局所的な接触点が瞬間的に光っていることが分かった。二色温度法による温度計測のためにカラー高速度カメラによる撮影を実施し、約1000℃以上の温度を計測するのに十分な画像が撮影できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り摩擦面を撮影する実験系を構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
カラー画像から温度分布を得るためのプログラムを構築する。 赤外線カメラによる計測で1000℃以下の温度領域もカバーできるようにする。 構築した実験系で系統的に摩擦実験とその場観察を実施する。
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Causes of Carryover |
予備実験から既存の高速カメラが使用可能なことが分かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施予定である二色温度法のプログラム作成と赤外線カメラによる1000℃以下の温度領域の測定に使用する。低温域をカバーする赤外線カメラを購入することでより良いデータが得られると考えている。
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