2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a cloud-resolving model based on the building cube method
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16K13881
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重 尚一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60344264)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 雲解像モデル / 直交格子積み上げ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、熱帯陸上降水システムの再現に必要十分な計算効率の高い雲解像モデルを「直交格子積み上げ法」(Nakahashi 2003)に基づいて開発することである。直交格子積み上げ法は、異なる解像度を持つ複数のキューブを重なり合わないように配置することで計算領域を表現する手法である。水平スケールの小さい積雲対流を捉える必要がある地面付近では水平解像度を高く、水平スケールの大きい層状性雲が支配的な上空で水平解像度を低くすることで、全体を一律に高い解像度で表現することに比べて格子点数を減らし効率的な表現につながる。 昨年度までに、雲微物理過程(Kessler 1969)を導入し、格子間の境界面上で問題となった正定値性を保障するフラックスフィルターを考案した。今年度は考案したフラックスフィルターを雲解像モデルへ導入し、暖気塊及びスコールラインの数値実験により検証を行った。暖気塊実験では水平方向に40km、鉛直方向に30kmの計算領域を用いて、積み上げ法を適用しない1層のみの場合と、積み上げ法を適用し2層化、3層化した場合でそれぞれ実験し比較を行った。1層のみを用いた実験では全域が第1層(格子点数76800点)で表現され、2層化実験では高度4kmまでが第1層(格子点数10240点)、4km以上が第2層(格子点数16640点)で表現される(計26880点)。3層化実験では高度4kmまでが第1層(格子点数10240点)、4km~12kmが第2層(格子点数5120点)、12km以上が第3層(格子点数2880点)で表現される(計18240点)。実験の結果、階層化した表現により計算領域の格子点数が大幅に減ることで計算コストが減少することが示された。同様に2次元スコールラインの数値実験を1層のみ、2層化、3層化した計算領域で行った結果、定性的に一致した結果が得られた。対象とする現象に対して適切に階層を設定し高解像度が必要な高度までを局所的に解像度を高め計算コストを抑えた効率的な表現につながる。
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