2016 Fiscal Year Research-status Report
大気・海洋シミュレーションのための超高時間分解能特徴追跡とイベント可視化
Project/Area Number |
16K13885
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
松岡 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80543230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 慎太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (60415982)
山下 由美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80633883)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋渦 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーコンピュータ上において特徴的な構造の抽出、追跡、イベント抽出および可視化処理を実行する機能を有するフレームワークのプロトタイプを構築し、海洋データを用いた事例研究を行った。 これまでに開発を行ってきた海洋渦、海流およびストリーマーの抽出手法を、個別の海域にもに適用可能な手法から、全球規模のどの海域にも適用可能な手法へと拡張した。特に、これまでは流れの速い領域を、「適当な流速の閾値よりも流れの速い領域(例えば黒潮周辺であれば60cm/s以上)」という条件を用いて抽出していたが、新たに各海域における渦、海流、ストリーマー、および周辺海域の流速を精査することで、「周辺と比べて相対的に流れの速い(隣接する流速の極大点と極小点の間の上位30%以上の)領域」と定義しなおすことで、どの海域にも適用可能な手法であることを示した。また、抽出対象とする渦の大きさに対しても、緯度による格子点間隔の違い(高緯度ほど実際の距離は小さくなる)を考慮した渦の抽出手法に改良した。 開発手法を用いて北西太平洋の黒潮周辺および南アフリカ沖のアガラス海流周辺のデータの可視化を行った結果、流れの速い海流付近で数多くの渦が生成される様子や、渦と海流との相互作用によって暖水渦または冷水渦が熱を運ぶ様子を効果的に表現することができた。 これらの手法開発により、情報量の多い高解像度シミュレーションの可視化において、解析者が「いつ」「どこで」「どのような」現象が発生しているか認識しやすいアニメーション生成に成功したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の実現に必要な各機能(特徴構造抽出、時間発展の追跡、イベント抽出、可視化)の開発を行い、海洋データに対する一つの成功例を挙げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において得られた成果は、シミュレーション終了後に出力されたデータに対して、ポスト処理として特徴構造抽出から可視化までを適用した結果である。今後の研究の推進方策として、開発したアルゴリズムのスーパーコンピュータ上への実装および最適化を行う必要がある。 また、平行して大気データへの適用を行う。具体的には、雲解像気象モデルによって出力されたデータに対して、雲塊の抽出および特徴分類を行い、時間発展する場における個々の雲塊の特徴変化を追跡し、可視化する事例研究を行う。
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