2017 Fiscal Year Research-status Report
大気・海洋シミュレーションのための超高時間分解能特徴追跡とイベント可視化
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16K13885
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
松岡 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80543230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 慎太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (60415982)
山下 由美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80633883) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱帯低気圧 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーコンピュータ上において特徴的な構造の抽出、追跡、イベント抽出および可視化処理を実行する機能を有するフレームワークのプロトタイプを構築し、気象データを用いた事例研究を行った。特に、高解像度(7kmメッシュ)の全球気候実験データ30年分から、熱帯低気圧の抽出およびトラッキングを行った。また、抽出されたトラックデータから得られる、「熱帯低気圧である状態」または「熱帯低気圧となる前の状態(熱帯低気圧の予兆)」という情報を雲画像に対してラベル付けを行った。ラベル付けされた数十万枚オーダーの雲画像(外向き長波放射)に対して、深層学習によってクラス分類のための分類学習器を生成した。生成された分類学習器を未学習のデータに対して適用することにより、熱帯低気圧またはその予兆を高精度に識別することに成功した。また、学習データとして、雲画像だけでなく、地上の風速(東西成分、南北成分)や海面校正気圧を組み合わせて用いることで、識別精度が大幅に向上することを示した。さらに、多変量データ可視化の手法を応用し、雲、東西風、南北風を1チャネルのグレースケール画像に変換し、少ないチャネル数の入力でも高精度な分類学習が可能であることを示した。 これらの結果を用いることによって、情報量の多い高時空間分解能の気象シミュレーションデータの可視化において、解析者が、「いつ」「どこで」「どのような」現象が発生しているか、または発生しそうであるかを認識しやすいアニメーション生成に成功したといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の実現に必要な各機能(特徴抽出、特徴追跡、可視化)の開発を行い、気象データに対する一つの成功例を挙げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において得られた成果は、主にシミュレーション終了後に出力されたデータに対して、ポスト処理として特徴構造抽出から可視化までを適用した結果である。今後の研究の推進方策として、開発したアルゴリズムのスーパーコンピュータ上への実装および最適化を行う必要がある。 また、シミュレーション研究者にとって利用しやすい形でのソースコードの提供も挙げられる。
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Causes of Carryover |
研究分担者の退職により、研究費の使用計画が変更となったため。次年度の研究成果の発表および情報収集のための出張に使用する。また、投稿中の論文の出版費用として計上していたが、年度内の採択および出版に至らなかったため。次年度中に採択および出版に至った場合は、その出版費用に充当する。
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