2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13904
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 一生 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50541942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 真一 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科, 中性子科学センター, 研究員 (30554373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高圧 / 高電圧 / 氷 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷の多形の探査は、過去100年以上にわたって温度・圧力を変数とした観察をもとに進められてきた。本研究では、温度・圧力に加えて、新たに電場を変数とすることで、これまで観測されることのなかった秩序構造を見出すことを目的とする。平成28年度は、高圧かつ高電圧下における中性子回折実験のためのセル構成の開発、世界初の高圧高電圧その場中性子回折実験の実施、液体試料を封入可能な誘電率測定装置の開発を行った。 ・高圧かつ高電圧下での中性子回折実験のための圧力セル構成を開発し、放射光施設である高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリーにて、その圧力発生試験を行った。絶縁耐力の高いセラミックとテフロンを組み合わせたガスケットを用いて、水を封入可能な圧力セルの開発に成功した。 ・オーストラリアの中性子実験施設ANSTOにおいて、世界初となる高圧かつ高電圧下での中性子回折実験に成功した。 ・高電圧下における物質の双極子モーメントの配向を調べるために、パリ―エジンバラプレスとインピーダンスアナライザーを組み合わせた高圧下誘電率測定装置を開発した。また、高電圧用の高圧セルの構成を応用して、水などの液体試料に対しても誘電率測定が可能となるセル構成を新たに開発した。本装置を用いて7 GPaまでの誘電率を測定することが可能となった。従来のマルチアンビルやダイヤモンドアンビルセルに比べ、ハンドリングの容易さと誘電率の絶対値の精確さに強みがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高圧かつ高電圧を試料にかけるというアプローチは、技術的にも、また安全という観点からも困難が予想されていた。高圧下という極限状態で、絶縁破壊を起こさずに高電圧をかけるには、あらゆる放電経路を詳細に検討しなくてはならないためである。平成28年度は、圧力を封じるガスケット材として通常使用される金属ではなく、セラミックを使用したセル構成を試し、その圧力発生効率を放射光施設であるフォトンファクトリーで確認できた。数度の試行錯誤の後、無事セラミックでも圧力発生が可能であることがわかり、高電圧の発生にも道筋ができた。その後、ANSTOで行われた中性子回折実験では、実際に高電圧を発生させることが確かめられ、世界初となる、高圧高電圧その場中性子回折実験に成功した。この実験について、試料環境に関する国際ワークショップ技術的な観点からの発表を行い、本ワークショップのプロシーディングとして報告済みである。 また、高電場下における双極子モーメントの配向を調べる手法として、誘電率測定にも注目した。これまで高圧下での誘電率測定には、マルチアンビルやダイヤモンドアンビルセルが用いられていたが、セットアップの煩雑さや測定結果の不確かさのために、一般的な手法としては用いられていなかった。今回、パリーエジンバラプレスとインピーダンスアナライザーを用いて、比較的容易に、かつ精確な誘電率を測定可能な圧力セルを新たに開発した。本装置については、原著論文としてまとめ、すでに受理されている。 以上のように、当初想定していた問題を着実にクリアし、かつ高圧下誘電率測定のセル構成をも開発できたことから、当初の計画以上に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、6月に再度、オーストラリアANSTOでの高圧高電圧下中性子回折実験を行う予定である。平成28年度は技術的開発という意味合いの強い実験であったが、今年度は当初の目的である、新規氷高圧相の発見を目指して実験を行う予定である。 また、今年度より、高圧だけでなく温度も変数とした中性子回折に向けての技術開発を進めていく。申請者は水戸システムと呼んでいる温度と圧力を自在にコントロール可能な装置を開発しており、この水戸システムに高電圧を印加するための配線や安全装置を取り付ける。装置開発は今年度末までを目処に行い、来年度から大強度パルス中性子施設であるJ-PARCにおいて、温度―圧力―電場を3変数のもとでの氷の状態変化を調べていく。
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Causes of Carryover |
残額が少額であったため、年度末の不要な使い切りを避けた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として少額の消耗品に使用する予定である
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Partially ordered state of ice XV2016
Author(s)
Komatsu, K., Noritake, F., Machida, S., Sano-Furukawa, A., Hattori, T., Yamane, R. and Kagi, H.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 28920
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Ice VII from aqueous salt solutions: From a glass to a crystal with broken H-bonds2016
Author(s)
Klotz, S., Komatsu, K., Pietrucci, F., Kagi, H., Ludl, A.A., Machida, S., Hattori, T., Sano-Furukawa, A. and Bove, L.E.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 32040
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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