2016 Fiscal Year Research-status Report
アルカリ熱水噴出孔が生み出す非平衡を利用し,アミノ酸の重合化を駆動する
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16K13906
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北台 紀夫 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (80625723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 やよい 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (40435681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アストロバイオロジー / 生命の起源 / 生命の化学進化 / 電気化学 / 初期地球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアルカリ熱水噴出孔環境が生み出す温度とpHの勾配を利用し,アミノ酸の水中での(脱水)重合化の駆動を目指している.これらの勾配は噴出孔内外に大きな電位差を生じ,内から外へ向かう定常的な電子の流れを発生させる(Yamamoto et al., 2017).我々はまず,噴出孔に普遍的に存在する硫化鉱物(Ag2S, CdS, CoS, CuS, FeS, NiS, MnS, MoS2, NiS, WS2, ZnS)を用意し,この粉末に負電荷を印加し,CO2やH2Oの還元挙動を調べた.その結果,カドミウム硫化物(CdS)の表面ではCO2のCOへの還元が非常に効率よく進展し,-1V (vs. SHE)以下の条件下で40%程度のファラデー効率が観測された.次に,CdS上で発生した還元ガスを回収し,鉄・ニッケル硫化物,硫化ナトリウム,グリシンと共にガラス瓶に封入し,100℃で数日間の加熱を行ったところ,グリシン2量体の生成が確認された.メカニズムとしては,CO2の還元により発生したCOが硫化物イオンと反応し硫化カルボニルへと変化し(CO + S2- + 2H+ → COS + H2),この化合物の脱水がグリシンの脱水と共役することで重合化が駆動されたと考えられる.以上の実験条件は初期海洋に普遍的に存在したと推定されるアルカリ熱水噴出孔環境で十分実現可能な範囲である.本研究成果は原稿にまとめ,現在Nature Communicationsへ投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,アルカリ熱水噴出孔環境で実現可能な実験条件下で,アミノ酸の重合化の駆動に成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度はアミノ酸重合化の駆動原料(CO)の生成と,重合化とを別々の反応条件で進展させた.本年度はこれらを一つの反応系内で進展させることを目標とする.この成功により,熱水噴出孔環境での生命の化学進化について,よりリアリティーを持って議論することが可能となる.
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Causes of Carryover |
研究計画の一部が当初の予定より遅れ,予算の一部を次年度へ持ち越すこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の研究計画を遂行するために使用する.
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Electrochemical carbon fixation2016
Author(s)
Kitadai N., Hongo Y., Li Y., Yamaguchi A., Nakamura R., Yamamoto M., and Takai K.
Organizer
Japan Geoscience Union Meeting
Place of Presentation
Makuhari, Japan
Year and Date
2016-05-22 – 2016-05-26
Invited