2016 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Hyper Flow Reactor Simulated Various Hydrothermal Environments in the Hadean Earth and Saturn II Enceladus
Project/Area Number |
16K13913
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
今井 栄一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (30134977)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 冥王代地球 / 海底熱水噴出孔 / 非平衡開放系 / 陸上温泉 / エンケラドス |
Outline of Annual Research Achievements |
冥王代の地球で生命誕生に至る化学進化過程が進行した場所として海底熱水噴出孔(深海温泉)および陸上温泉に着目し,それらを非平衡な反応の場として捉え,多様な熱水環境を模擬したハイパーフローリアクターを設計・製作した.反応溶液は予備加熱炉で所定の温度まで加熱され,恒温炉で高温を維持したまま所定の滞在時間を経て冷水中に噴出される.低温チャンバーは冷却槽に浸し,海底温泉では0℃,地上温泉では最大95℃まで任意の温度に設定できる.高温チャンバーにはチタン合金製を用い,高温時の耐性を確保するとともにチタン合金製内筒を介してチャンバーの内容積を可変にした.最大到達温度450℃,常用圧力30MPaの初期目標を達成した.常用温度300℃に達する時間およそ20分で,それ以後は安定に維持される.多様な熱水環境実現のため,高温を通過する経路を2経路,高温を通過しない経路を1経路設けた. 低温チャンバーの熱水の噴出し口に熱電対を直接挿入し,フローリアクターで初めて熱水の温度を測定した.高温チャンバーから低温チャンバーに行く過程で熱水は急冷され,熱水の温度を350℃にしたとき低温チャンバー噴き出し口では最大200℃程度であった.熱水の冷却温度は高温と低温チャンバー間の流路を通過する時間に依存し,最長12秒を要する流量5ml/minでは78℃まで低下した. グリシンを反応出発反応物質としたとき,温度の上昇とともにグリシン2量体の生成量が増加した.350℃以上ではグルシンの分解が進み,ジケトピペラジン(DKP)の生成が300℃を超えると増大した.また流量一定条件下で高温滞在時間が長くなるほどグリシン2量体の生成量が増大した. ハイパーフローリアクターは原始地球の化学進化過程の検証実験に有益なツールであり,土星の衛星エンケラドスなどの内部海を持つ衛星の熱水環境へも応用も可能である.
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