2016 Fiscal Year Research-status Report
プラズマを用いた高効率可視光応答性光触媒材料の作製
Project/Area Number |
16K13917
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶田 信 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (00455297)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 光触媒 / ナノ構造 / ヘリウムプラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
タンタルへのヘリウムプラズマ照射をNAGDIS-IIにおいて行った。1093 Kで照射を行った場合では,表面には平均半径40 nm 程度の小さなピンホールが無数に形成されているのが確認された。一方で温度を1400 Kまで上げた場合においては,表面には平均半径250 nm程度の大きなピンホールが形成されているのが確認された。さらに照射量を上げた場合においては、ピンホールに加え照射方向に立体的な凹凸が形成されているのが確認された。さらに,フルエンスを10e26 m^-2以上で照射した結果,1010 Kでの照射でTa上でも繊維状ナノ構造の形成を確認した。鉄表面においては,表面温度を900 K以上,かつ入射イオンエネルギーが50 eV以上において,繊維状ナノ構造の形成が確認された。同様に,バナジウム,ロジウム,ニオブ等において繊維状ナノ構造の形成が確認されている。 メタノール水溶液の分解実験の試料として,未照射試料,円錐形突起構造が形成した試料,スポンジ状構造が形成した試料の3 種類の試料を用いた。メタノール水溶液分解実験の前処理としてすべての試料を773 K で30 分加熱酸化処理した。Xe ランプを用いて光を照射したときの照射時間に対する発生した水素の量を定量評価した結果,ヘリウムプラズマ照射により表面構造の変化したチタンも光応答性を示し,水の分解による水素の生成という光誘起分解作用を示し,表面構造変化したチタンの方が未照射チタンよりも高い触媒活性を示した。特にヘリウムプラズマ照射された試料はバンドギャップよりも低いエネルギーの光によっても,光触媒特性を示すことが明らかとなった。さらに,Ti に対して高入射イオンエネルギー(~130 eV)でHe-N2プラズマ照射を行い,その後酸化加熱処理を行った試料において,NドープTiO2試料を作製できることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンタル,鉄を中心に照射実験を行い,照射による表面構造変化を明らかにするとともに,チタンにおける光触媒反応のプラズマ照射による効率増加が明らかになってきており,順調に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ロジウム,ルテニウム等の貴金属へのヘリウムプラズマ照射を進める。さらに,酸化バナジウム,酸化ニオブの触媒反応実験を調べる。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた窒素導入の実験を行い、表面分析を行い、会議での発表をする予定であったが、窒素導入の場合の照射条件が当初の予想と異なっており、計画を変更し窒素なしでの照射を中心に実施したため、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、窒素導入実験を再度実施し、照射試料の購入及び表面分析、学会発表のためにその経費を充てるようにしたい。
|