2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13919
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
重森 啓介 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (50335395)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高圧力 / 二酸化炭素 / 解離 / 高出力レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
高出力レーザーによる二酸化炭素の解離・回収を行うため,既存のレーザー装置を改良した実験システムの立ち上げを実施した.使用するレーザー装置は,大阪大学レーザーエネルギー学研究センターが保有するガラスレーザーであり,最大エネルギーは200 Jに達する.しかしながら,フリーランモードでの発振であるため,パルス幅がサブミリ秒の長さを持つことから,本研究で必要となる高圧力条件を得ることができなかった. 平成28年度は,本研究で必要となる高圧力条件を達成するために,過飽和吸収体を利用した短パルス化(Qスイッチ動作)を図ると同時に,出力エネルギーおよびパルス波形などのモニター系の整備を中心に実施した.過飽和吸収体にはニッケルコンプレックスを使用し,その濃度およびフラッシュランプの充電電圧を最適化を行った.パルス幅約300 nsで照射強度が10^11 W/cm~2程度の状態で発振させることに成功した. レーザー側の整備とともに,衝撃圧縮試料の解析のための計測系の開発も並行してすすめた,照射レーザーによるプラズマ自発光のモニター系,および発生衝撃波の特性計測のための速度干渉計(VISAR)の整備を行った.また,試料照射のための真空チェンバーを導入し,試料回収のための冶具などの準備を実施した. これらの環境下で,まずアルミニウムとステンレスを用いた照射実験を行い,基本的な衝撃パラメータ計測などを実施した.以上のシステムとしての技術的問題点を改善しながら行い,平成29年度に本格的に開始する二酸化炭素の照射実験のための準備を整えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに二酸化炭素を試料とする高出力レーザー照射実験に関するプラットフォームを開発した.既存のレーザー装置を改良することにより,二酸化炭素の解離に必要な条件を得る性能に向上させた.また,速度干渉計をはじめとする計測系を整備し,経過通り平成29年度に本格的に開始する二酸化炭素を試料とした実験の準備が整った. 当初の計画では,激光XII号を用いた衝撃波パラメータ計測の実施を平成29年度に予定していたが,マシンタイムが得られない見込みであり実施が困難となった.しかしながら,上記装置によって同等の環境下で実験ができる見込みが立ったことから,全体の計画としては当初の予定通りの成果が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に構築した高出力レーザー照射システムを用い,二酸化炭素を試料とした実験を本格的にすすめる.レーザー照射強度(発生圧力)を変化させ,ドライアイスや液化二酸化炭素に照射することによる生成物を解析するほか,発生衝撃波の基礎パラメータを計測する予定である. また,二酸化炭素と同様で扱いやすい物質(プラスチック系材料)による照射・回収実験も併せて実施する.
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Causes of Carryover |
平成28年度に一部予定していた二酸化炭素照射実験のうち,石英窓で封じる形状の試料を準備していたが,業者の納期の都合により平成28年度内に執行することができず,この分を平成29年度に持ち越した.年度初めより供給が可能であり,研究計画自体に大きな影響は無い.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額にかかる経費については,当初予定していた試料および試料の保持に関わる石英窓の購入に充てる予定であり,当初計画との差異は無い.
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Research Products
(1 results)