2016 Fiscal Year Research-status Report
圧力可変マイクロプラズマによる異方性プラズマCVD
Project/Area Number |
16K13922
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白谷 正治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (90206293)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 異方性堆積 / プラズマCVD / 製膜形状制御 / マイクロプラズマ / カーボン保護膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、カーボン系薄膜は高硬度・高耐摩耗性を有するという点から注目されており、MEMS,NEMSなどに対する応用が強く期待されている。研究代表者がこれまでに精力的に取り組んできた溝付き基板上への選択的カーボン薄膜の堆積は、高エッチング選択比を有するマスクとして利用できるため、ULSI製造において極めて重要な技術である。本研究では、MEMSやULSI製造用マスク等への応用が展開できるカーボン薄膜を主な対象といて、「マイクロ放電をもちいたプラズマ異方性CVD」技術を確立する。本研究の目的の実現に向け、2年間の研究期間で1)ガス圧力による選択的プラズマ生成技術の開発、2)反応性ガスを用いた圧力可変プラズマ制御による選択的膜堆積の実証について研究する。 平成28年度は、上述した2つの研究項目について実験を行った。 材料ガスとして、トルエン、希釈ガスとしてArとH2を用いて、平行平板電極に高周波電圧を印加してプラズマを生成した。ガス圧力に対する放電領域の変化を調べた所、0.1Torrでは33mm間隔がある放電電極と基板電極の間の領域で放電が確認されたが、圧力の増加とともに、放電領域が電極近傍に局所化し、5Torrでは1mm間隔の放電電極とアースシールド間に放電が集中している事を明らかにした。この結果は、微細構造内でのプラズマ生成が可能であることを示唆している。 得られた結果を基に、5Torrの高ガス圧条件で、平板基板にカーボン薄膜を堆積した。電極基板間距離の減少と共に、製膜速度が33mmでの5nm/minから13mmでの41nm/minまで増加した。製膜速度の目標値が100nm/minであり目標値の達成を視野に収めることに成功した。膜強度に関係する膜密度についても1.4g/cm3であり、高速かつ高密度膜堆積に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、28年度に研究項目1の局所放電を電極を堆積した微細溝基板で実現し、29年度に研究項目2の反応性プラズマで異方性製膜を実現する予定であった。 28年度は、微細溝ではないが、局所的な放電が高圧力で可能であることを示すと共に、研究項目2の反応性プラズマでこれを実現することに成功した。 加えて、実際に必要な製膜速度に近い製膜速度で高密度のカーボン薄膜の堆積に成功しているところから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、溝付き基板を用いた異方性製膜に着手する。 製膜形状のガス圧力・電極基板間距離依存性を明らかにするとともに、水素原子源を用いたエッチングを併用した異方性製膜と高密度化を検討する。 基板設置電極側に基板を設置した場合、溝内のみでの製膜が難しい可能性がある。 平成28年度の結果を見ても放電電極側に放電が局所化する傾向にあるため、基板を放電電極に設置することを検討する。 現在水素原子源として誘導結合型放電電極を使用しているが、高ガス圧で通常動作出来ない可能性がある。この場合誘導結合型など他の放電方式についても検討する。
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