2016 Fiscal Year Research-status Report
有機薄膜太陽電池の限界突破を指向した長距離励起子拡散長π共役系の創製
Project/Area Number |
16K13945
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
古川 俊輔 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70625590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 長寿命励起子 / イオン結晶 / ヘテラスマネン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,従来までの有機薄膜太陽電池の限界突破を指向した,長距離励起子拡散長をもつπ共役系の創製を目的としている.従来までの限界を打破するためには,有機半導体の根源的課題である“短い励起子拡散長”にアプローチし,大きなエネルギー損失を伴うキャリア生成機構から脱却することが必要不可欠となる.本研究では,1) 大きな比誘電率と2) 多次元的な電荷輸送パスを両立したπ共役化合物として,「ヘテラスマネンイオン結晶」を設計した. 本年度の1つ目の達成点は,ヘテラスマネンイオン結晶の最小の切り出し構造であるモデル分子の合成に成功した点である.ヘテラスマネンイオン結晶の分子設計として重要な点は,π共役骨格内に2価鉛(プルンビレン)の結合様式をもつことにあり,この2価化学種とハロゲン化物イオンが互いに連結することでイオン結晶を形成する.この最小骨格としてプルンバシクロペンタジエニリデンを採用し,これにヨウ化アンモニウム塩を作用させることで,対応するヨウ化物塩の単量体を得ることに成功した. 2つ目の達成点として,最小π骨格をもつプルンビレンが,配位性化合物の添加により連結構造体を形成できることを見出した点を挙げる.プルンバシクロペンタジエニリデンに二座配位子であるジオキサンを加えると,π骨格とジオキサンが交互に連結した1次元分子ワイヤーを形成することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の初年度の達成目標として,「高周期14族2価化学種を含む骨格に含むヘテラスマネンの合成」と「イオン結晶の構築法の確立」の2点を挙げていた.この内,「イオン結晶の構築法」は既に達成することが出来た.含14族元素ヘテラスマネンの合成に関しては,当初の計画通り検討を行ったものの,想定した目的化合物が得られず,複雑な混合物が得られた.この検討の後,即座に別の合成経路を模索し,現在,目的分子の前駆体を合成することに成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,高周期14族2価化学種を含む骨格に含むヘテラスマネンの合成検討を行う.既に合成した前駆体となる化合物から,目的のヘテラスマネン分子への誘導化を行う.ここで得られるヘテラスマネン分子と昨年度の検討で手法を確立したイオン結晶の構築法を組み合わせることで,「ヘテラスマネンイオン結晶」の合成を検討する. 今期の後半では,合成したイオン結晶の基礎物性(光吸収特性,溶解性,成膜性等)を評価し,更にはTRMCを用いた励起子拡散長の算出を行う.この励起子拡散長は,π骨格に含まれる14族元素,ハロゲン化物イオン,およびその対アニオンによって変化し得るため,それぞれの誘導体に関して,系統的な測定および解析を行う.
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Triphosphasumanenes2016
Author(s)
Shunsuke Furukawa, Junji Kobayashi, Takayuki Kawashima, Masaichi Saito
Organizer
International Conference on Phosphorus Chemistry
Place of Presentation
Kazan, Russia
Year and Date
2016-06-05 – 2016-06-10
Int'l Joint Research