2017 Fiscal Year Annual Research Report
Selective Recognition of Biomolecules by Molecular Capsules
Project/Area Number |
16K13947
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉沢 道人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70372399)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属 / 芳香環 / 分子カプセル / 糖 / スクロース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自己組織化により構築した分子カプセルのナノ空間を利用して、これまで困難であった水中での生体必須分子の高感度な識別法を開発することを目的とした。その戦略として、申請者が開発した金属架橋カプセルを活用し、その多環芳香族骨格で囲まれたナノサイズの空間による多点相互作用で、狙いとする糖やステロイドなどの選択的な内包による識別を目指した。また、蛍光性能を持つ金属架橋カプセルを用いることで、それらの簡便かつ高感度な蛍光センシングにも挑戦した。以下に本年度の研究成果の概略を述べる。 1.天然糖の混合物からのスクロースの選択的内包:分子カプセルと二糖のスクロースを混合したところ、水中で1分子のスクロースが80%以上の収率で内包された。NMRの滴定実験から結合定数は約1100 /Mであり、主にエンタルピー駆動で内包されることが判明した。さらに、トレハロースやラクトースなどの二糖とスクロースの混合物から、カプセルはスクロースを選択的に捕捉することが明らかとなった。すなわち、分子カプセルが水中でスクロースレセプターとして機能することが判明した。これらの結果は、理論計算による内包前後の結合エネルギー変化からも支持された。内包体の最適化構造から、スクロースとカプセルの内部空間の形と大きさが合致し、多点のCH-π相互作用が示唆された。 2.人工甘味料および天然糖に対する内包能の比較:工甘味料と天然のスクロースとの内包の競争実験を行った。人工甘味料として、スクロースの3つの水酸基が塩素に置換されたスクラロースとジペプチドのアスパルテームを検討した。それぞれ水中で、分子カプセルに強く内包され、その順序はスクラロース > アスパルテーム >> スクロースであった。
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Research Products
(11 results)