2016 Fiscal Year Research-status Report
光で創るアモルファスMOF:組成・機能・集合構造の制御
Project/Area Number |
16K13965
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30280580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 大介 電気通信大学, 研究設備センター, 准教授 (50270468)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 配位高分子 / 有機金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、カチオン性金属錯体を用いた光反応性イオン液体を開発し、その分子設計によって、生成する配位高分子の架橋トポロジーの制御を行うことを目的とする。ここでは金属錯体として、紫外光で配位子の解離を起こすルテニウム錯体を用いたイオン液体を数種類合成し、その反応性に対するアニオンの影響を評価した。 第一に、配位性アニオンと非配位性アニオンとの混合系の光反応性を検証した。非配位性アニオンとしてFSAアニオンを選択し、これらの混合アニオンを有するイオン液体を合成した。この液体に紫外光照射を行った結果、含まれる配位性アニオンの割合と同じ割合まで光反応が進行した。このことは、非配位性アニオンを有する錯体が光反応に関与しないことを示唆している。混合比を変化させた場合にも、同様の結果が得られた。第二に、異種の配位性アニオンの混合系の反応を検証した。対イオンの一部を配位性アニオンである塩化物イオンに置換したイオン液体の場合、光照射によって同定不能な生成物が生じ、転換率も低い結果となった。そこで塩化物イオンのみを対イオンとするイオン液体の反応性を調べた結果、吸湿性が高く、単体でも副反応が生じることが分かった。これらの結果を基に、より疎水性の高い擬ハロゲンをアニオン種とする液体の合成を進めた。また、生成物の配位高分子について、熱反応による別途合成が可能であることを明らかにした。この合成法は、生成物の物性を直接調べるために有用である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体の光反応を検証することにより、混合アニオンの効果について基礎的な知見が得られた。これらは架橋制御実現のための分子設計に有用である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果に基づき、物質系の改良を進める。第一に、非配位性アニオンを混合すると、その分だけ反応率が低下することがわかった。そこで、反応率の低下を避ける方法として、配位性ではあるが配位サイトの数が異なるアニオンを導入する。この系について、光反応及び生成物の物性の評価を行う。第二に、今年度の継続として、塩化物以外の配位性アニオンを混合した系の合成および光反応性の評価を進める。生じた配位高分子について、ガス吸脱着実験を行って表面積等を評価する。
|
Causes of Carryover |
少額のためH29年度予算と合算して使用するため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度予算と合算して実験用試薬等購入予定。
|
Research Products
(1 results)