2017 Fiscal Year Research-status Report
安定な1,4-ジイルジカチオンの発生/消失に伴うモノマー/ポリマースイッチング
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16K13968
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 孝紀 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70202132)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化還元 / 近赤外吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、モノマー重合/ポリマー脱重合スイッチング系の確立のために、様々なクロモフォアおよびスペーサーを用いてデザインされた多数のモノマーを、Wittig-Horner反応をベースに合成する。ポリマーポリカチオン塩の生成効率や可逆性に基づき設計指針を精密化した後、クロモフォアおよびスペーサーの不斉要素を伝播することで、酸化種のカチオンユニットに新たに生じる不斉中心の立体配置制御やキロオプティカル特性調査を行う。次いで、分子変換がバルク特性へ直接的に反映し易い媒体である水系溶媒中でも、モノマー/ポリマースイッチングを行える分子の設計へと進み、ミセルや凝集体の形成/可溶化を酸化還元で制御できる系を開発する。また、酸化還元とは独立した外部刺激によって、スペーサーの形状が変化するようにデザインすることで、酸化に際して起こる結合形成を、分子間ポリマー化から分子内環化へ切替え可能な高度なスイッチング機能を持った系へと展開する計画である。本年度は、1)モノマー重合/ポリマー脱重合スイッチング系の創成、2)酸化種のキラリティ制御とキロオプティカル特性調査、についての調査を主に実施した。 ペンタフルオロフェニル置換体について、酸化還元以外でのπ共役系伸長の可能性として、アリールエチニル基のSNAr反応による伸長方法を確立した。また、分子量が小さいながらもダイマーのジカチオン種について、長い共役系を利用した近赤外の吸収体を持つ色素について、生体内での酸化還元応答や光化学療法へ利用できるという、新たな側面からの研究へ展開できることが示された。また、キロプティカル応答に有用なアリール基(2,6-ジフルオロ-4-ブロモ基)を含むモノマー構造の探索に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿った結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初期の計画とあわせ、関連して研究成果の得られた近赤外の吸収体を持つ色素を利用した光化学療法へをH30年度に検討することとする。療法への応用には、上記3)の水中でも相互変換可能な系としての開発が必要であるとともに、色素をナノカプセルに閉じ込めて生体へ投与する方法での利用についても、研究を進める。
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Research Products
(15 results)