2017 Fiscal Year Annual Research Report
Spontaneous chiral induction in columnar liquid crystal phases by spiral-synchronization
Project/Area Number |
16K13971
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岸川 圭希 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40241939)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 液晶 / 柱状相 / 不斉誘起 / ナノ材料 / CDスペクトル / 分子充填構造 / ナノ周期構造 / ファンデルワールス力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、アキラルな化合物3,4,5-trialkoxybenzyl pentafluorobenzoateの構造を変えるとともに、より詳細に自発的な不斉誘起について検討を行った。 ベンジル基のアルコキシ鎖の4位のみをheptyloxyとし、3位と5位の両方にhexyloxy、octyloxy、nonyloxylのいずれかを導入して、その相転移挙動について偏光顕微鏡観察により調査したところ、4位がheptyloxy基のものは、いずれも二種類の柱状液晶相を示した。高温には、構造未定の柱状相が現れ、その低温側には矩形柱状相が観測された。矩形相は直線的な模様が多く、組織が堅い様子が見られたが、X線回折においては、広角においてアルキル基の幅広いピークが現れるなど、液晶であることが確認された。したがって、分子内の3つのアルキル基の長さが同一でなくとも、アルキル基の体積がある範囲であれば、この分子骨格は柱状液晶相を示すことが確認された。 これら3つの新規化合物について、顕微CDスペクトル測定を行ったところ、いずれも矩形柱状相において、310nm付近のCDシグナルが確認された。なお、高温部の構造未特定の柱状相では、CDシグナルが観測されないことから、この相は六方柱状相である可能性が高い。 原子間力顕微鏡による表面形状観察をおこなったところ、薄膜試料において、約400nmの周期で、高さ20-40nmの縞模様が観察されるなど、光学活性な柱状相に特有な構造が発見された。 このように、隣接カラム間で入り込みを起こすカラム構造体を自己集合により生じる分子を設計することにより、不斉が伝搬しにくい柱状液晶相においても、キラリティを隣接するカラムに伝搬させることに成功し、柱状相における一つの不斉誘起の方法論を確立することができた。
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