2018 Fiscal Year Research-status Report
DNA2重鎖と脂質ラフトモデル膜を用いた微弱磁場イメージング・システムの構築
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16K13980
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岡 芳美 大分大学, 全学研究推進機構, 助教 (30470115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラジカルペア / 微弱磁場センシング / クリプトクロム・モデル / 脂質ラフトモデル / DNA2重鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
青色光受容体タンパク質クリプトクロムの磁気センシングに着目して、微弱磁場をセンシングできる人工システムの構築を目指した。フラビンの1重項励起状態からのフラビン-トリプトファン・1重項ラジカルペア形成の過程の実現、最終的な3重項ラジカルペアの長寿命化の実現のため、DNAモデルシステムの構築を進めている。オリゴマー末端のパルミトイル修飾により、脂質ラフト相(厳密には、脂質ラフトモデル膜の秩序液体相)を反応場とするフラビンの蛍光消光、寿命を顕微下で定量的に評価できるシステムを構築し、イメージングが可能な材料システムの探索、磁気センシング機能評価へと繋げる計画である。パルミトイル修飾したトリプトファン含有ペプチド核酸(PNA)オリゴマーとフラビンを含有する相補的なPNAオリゴマーの2重鎖を用いた場合、脂質ラフトモデル膜の秩序液体相と無秩序液体相の境界で破壊現象が起こることを顕微下で観測した(2017年度に論文発表済み)。パルミトイル修飾したトリプトファン含有ペプチド核酸(PNA)オリゴマーと(フラビンの代わりに)Alexa Fluor 488(AL488)を含有する相補的なDNAオリゴマーの2重鎖を用いた場合には、上記のような破壊現象は起こらず、秩序液体相中でAL488の蛍光消光、寿命を顕微下で評価できている(2017年度に論文発表済み)。上記AL488をフラビンに置き換えたDNAオリゴマーを合成したが、このDNA自体の水に対する溶解性が低く、PNAと2重鎖を形成させにくいことが分かった(2018年度に学会発表済み)。フラビン含有DNAオリゴマーの水溶性の向上、脂質ラフトモデル膜内でPNAと2重鎖を形成させることを目的に、リンカー構造の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
入手したいオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)の合成が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、ボトムアップ的に研究遂行を計画したが、入手したいオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)の合成が遅れているため計画を見直した。昨年度中に、関連する論文発表ができたこともあり、トップダウン的に脂質ラフトモデル膜方向から研究を遂行する方針に変更した。研究実績の概要に記述したが、フラビン含有DNAオリゴマーの性質として、予想以上に水に対する溶解性が低いことが分かってきた。その向上のため、リンカー構造の検討を行い、現在までに構築できているシステムを最大限利用し「脂質ラフトモデル膜を用いた微弱磁場イメージング・システムの構築」を目指す。
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Causes of Carryover |
測定のための旅費、成果発表旅費は他予算を利用したため、次年度使用額が生じた。その使用計画としては、オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)合成に必要な試薬の購入費や旅費、英文校正費用等に充てたいと考えている。
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Research Products
(3 results)