2016 Fiscal Year Research-status Report
トリアリ-ルメタン系色素の光駆動化学吸着によるn型カーボンナノチューブの光形成
Project/Area Number |
16K13981
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (40221197)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田 亮子 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90321463)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | カーボンナノチューブ / トリアリールアミン / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブは次世代のフレキシブルエレクトロニクス材料として開発が進められている。特に、通常のカーボンナノチューブはp型であるのに対して、ドーピングにより安定なn型化を行う技術が開発されている。ここでは、光反応あるいは化学反応によりカーボンナノチューブを局所的にn型化する技術とそのための学理の構築を進めてきた。特に平成28年度においてはトリアリールメタン骨格分子の代表例であるロイコマラカイトグリーンMGHと水酸化マラカイトグリーンMGOHおよびマラカイトグリーンMG+とその光照射によるカーボンナノチューブの電子状態制御に取り組んだ。まずMGOHとカーボンナノチューブの反応では、水溶液中で、カーボンナノチューブのn型化に相当する負のゼーベック係数が観測された。さらに検討の結果、塩基性溶液中においてのみn型化が進行することに加えて水溶液中では有機ナノ粒子が形成し、これがドーピング作用を引き起こすことなどが明らかになった。この成果は、高インパクト雑誌、Small誌にて公開し、同誌の口絵に採択された。得られたn型カーボンナノチューブの安定性を検討したところ、ゼーベック係数、電気伝導率いずれも室温で約1か月間安定であることが明らかになった。また高電子分光計測の結果から、電子注入に伴うフェルミ面の上昇が見出された。これに伴ってX線光電子分光計測においてC1Sバンドの高エネルギーシフトが見出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は計画に沿って順調に進んでおり、さらに高インパクト雑誌、Small誌にて公開し、同誌の口絵に採択されるなど、期待以上の社会的インパクトを与えつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
ロイコマラカイトグリーンMGHとカーボンナノチューブの相互作用によるn型カーボンナノチューブの創成など、平成28年度に引き続いて研究を推進するとともに、これらの材料系に対して光照射を行いその応答性を明らかにする。新たに開発しつつあるトリアリールアミン誘導体について、その合成を完了させ、カーボンナノチューブとの相互作用を検証するとともに光照射効果を明らかにする。固体状態での光還元反応を誘起しn型カーボンナノチューブの光形成に取り組むカーボンナノチューブが紫外線を強く吸収することから、効率的な光反応のためには一定の工夫が必要で、例えば金ナノ粒子に導入によるプラズモン共鳴効果により、カーボンナノチューブ状での光反応の可能性を検討する。
|
Research Products
(1 results)