2017 Fiscal Year Research-status Report
新規ホウ素共役系の構築を目的とする高効率的ホウ素基導入法の開発
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16K13987
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石山 竜生 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00232348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 朋宏 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50638187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 合成化学 / 有機材料化学 / ホウ素化反応 / 炭素ー水素結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目標は、ジメシチルボリル化における基質適用範囲の拡大であり、具体的には、「1.基質として様々な置換基を有するπ共役系有機分子のジメシチルボリル化について検討を行い、反応の一般性、位置選択性および官能基選択性を明らかにする」「2.特に同一基質でも異なる触媒前駆体/配位子系を用いることによる異なる位置での高選択的なホウ素化を実現する」「3.これらの結果を踏まえ、基質における置換基の立体効果およびキレーション効果をある程度定量的に評価し、さらに効率的かつ高位置選択的なジメシチルボリル化を実現するための新たな触媒系の開発にフィードバックする」 である。 前年度、基質をベンゾフランに限定し、反応条件(触媒前駆体、配位子、溶媒、添加物、温度など)およびジメシチルボリル化剤について検討を行い、触媒系としてはNHC カルベン配位子を有するイリジウム錯体が、またホウ素化剤としてはジメシチルボリルシランが最も有効であることを明らかにした。 これらの触媒系およびジメシチルボリル化剤を用い、様々な置換基を有するベンゾフラン誘導体の反応について検討を行ったところ、上述した目標である「同ー基質でも異なる触媒前駆体/配位子系を用いることによる異なる位置での高選択的なホウ素化」の実現は難しかったものの、芳香環上に電子供与基であるアミノ基およびアルコキシ基を有する基質、電子求引基であるクロロ基を有する基質、および嵩高いアントラセニル基を有する基質でも、対応する2-ホウ素化体を高選択的に与えることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画は、置換基を有するベンゾフラン誘導体のメシチルボリル化を検討することである。検討の結果、反応は置換基の電子的および立体的な影響を然程受けず、一般性が高いことを明らかにできたことから今年度の目標は概ね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究の推進方策は、「ホウ素を平面上に固定化したパイ共役系化合物の合成法の開発」である。
ホウ素を平面固定化した化合物は、立体障害を要することなく、高い安定性を示すため、次世代型の電子輸送性材料や分子センサーとして期待されている。しかし、従来の合成手法では強力な求核剤を用いるため、求電子性官能基の導入が困難である。初期的な段階ではあるが、上述の通りジアリールシリルボランの有効性が期待できることから、芳香族炭素ー水素結合の直接ホウ素化を行った後、炭素-水素結合のアリール化による標的分子の合成を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度計画していた「ジメシチルボリル化における基質適用範囲の拡大」については、「様々な官能基を有するベンゾフラン類の反応」が計画通りに行えたため、使用額を低く抑えることができた。これに対し、次年度計画している「ホウ素を平面上に固定したパイ共役化合物の合成法の開発」については、今年度予備実験を試みたが良い結果は得られていない。また、次年度が本研究の最終年度である。次年度の研究を遂行するためには高価な試薬やガラス器具などが必要となるため、これらを「次年度使用額」と「次年度分として請求した助成金」を合わせて購入する予定である。
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