2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K14000
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 敏文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80291235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 拓矢 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30525986)
磯野 拓也 北海道大学, 工学研究院, 助教 (70740075)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 特殊構造高分子 / 環状高分子 / メタセシス重合 / 環化重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は「連鎖的環形成」という全く新しい発想の多環状高分子の合成法を提案するものであり、この方法論に基づいて様々な構造を有する多環状高分子の合成を実践する。さらに、合成した一連の多環状高分子について系統的な物性評価を行い、多環状構造と物性の相関を明らかにすることを最終目標としている。 本年度は、マクロモノマーの環化重合に基づく連鎖的環形成法の確立を目指した。具体的には、両末端に重合性のノルボルネン基を導入したポリマーを前駆体とし、希釈条件下でGrubbs第3世代触媒を加えることで環化重合を行った。生成ポリマーの構造解析の結果、予想通りの多環状構造を有していることがわかり、連鎖的環形成が起こっていることを確認した。さらに、本反応条件は様々なノルボルネン官能基化ポリマーについても適応可能であることがわかった。また、触媒の添加量や前駆体の分子量を適切に選択することで多環状高分子の環状ユニット数や環サイズを自在に制御可能であることを見出した。以上より、ノルボルネン官能基化マクロモノマーの環化重合による連鎖的環形成は多環状高分子の普遍的な合成手法として有望であることが明らかとなった。 続いて、前述の成果をもとにカゴ型構造高分子の合成へと展開した。具体的には、星形高分子の各末端にノルボルネン基を導入したポリマーを前駆体とし、大希釈条件下でGrubbs第3世代触媒を作用させて1分子内での連鎖的環形成を試みた。条件を最適化したところ、1分子内のみでノルボルネン部位の重合が進行し、望みどおりのカゴ型構造を得ることに成功した。3、4、6、8本鎖の星形ポリマーを前駆体として同反応条件を適応したが、いずれも対応するカゴ型構造へと変換されることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していた「連鎖的環形成による多環状高分子の合成」はほぼ達成されていることに加え、平成29年度に検討予定であった「1分子内連鎖的環形成によるカゴ型構造高分子の合成」にも既に成功している。このように予想を超えるペースで「連鎖的環形成」のコンセプトを確立できており、その汎用性も確認できつつあることから予想以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の成果をもとに、カゴ型高分子の合成について前駆体の適応範囲を広げていくことで、1分子内連鎖的環形成を普遍的なカゴ型高分子の合成法として確立する。また、本手法により合成した一連の多環状高分子およびカゴ型高分子について系統的に物性評価を実施していくことで、多環状構造と物性の相関に関する基礎科学の構築を目指す。
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Research Products
(14 results)