2016 Fiscal Year Research-status Report
ブロック共重合体の誘導自己組織化における相分離構造形成初期過程の実空間直接観察
Project/Area Number |
16K14001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陣内 浩司 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20303935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 剛志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50547304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子物性 / 大気圧走査電子顕微鏡 / ブロック共重合体 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブロック共重合体(BCP)薄膜における誘導自己組織化(DSA)を、大気圧走査電子顕微鏡(ASEM)を用いて基板表面近傍におけるミクロ相分離構造形成の初期段階を直接観察し明らかにすることを目的としている。
本年度は、BCPが形成するミクロ相分離構造の無染色観察に向けたASEMの最適観察条件の探索を行った。DSAに頻繁に用いられるPoly(styrene-b-methyl methacrylate)(PS-b-PMMA)を試料とし、ASEMによる無染色観察を行ったところ、明瞭なコントラストが得られる条件を見出すことは難しかった。そこで、2つのブロック鎖間の電子密度差の大きい、Poly(styrene-b-dimethylsiloxane)(PS-b-PDMS)およびPoly(styrene-b-ferrocenyldimethylsilane)(PS-b-PFS)を用いて検討を行った。
その結果、PS-b-PFSを用いた場合、反射電子によるコントラストが十分に得られ、ミクロ相分離構造を無染色で明瞭に観察することに成功したことから、ASEMによるミクロ相分離構造の無染色観察に目処がついた。また、加速電圧を変化させ観察を行ったところ、異なる試料深さの構造情報を得ることが可能であることが分かった(加速電圧10 kVで300 nm、20 kVで1 ミクロン、30 kVで数ミクロン深さの構造が観察できた)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標としているASEMを用いたミクロ相分離構造の無染色観察条件を見出すことができたことから、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ASEMによるミクロ相分離構造の無染色観察に目処がついたことから、BCP薄膜におけるDSAの研究に移行する。PS-b-PFS薄膜を有機溶媒(クロロホルム等)の蒸気に暴露し、その後、溶媒蒸気を一定速度で蒸発させる過程でのミクロ相分離構造の変化を観察する。溶媒蒸発過程における基板表面近傍でのミクロ相分離構造の配向の変化に着目して観察を行う。その際、基板表面近傍から試料内への入射電子の深さをASEMの加速電圧で制御することで、ミクロ相分離構造を観察する。BCP薄膜中の溶媒が完全に蒸発した後、最終的な構造を電子線トモグラフィー法により3次元観察し、ASEMによる基板表面近傍における相分離初期の動的な構造変化と併せることで、DSAにおける基板表面での構造形成がどのようにBCP薄膜に伝搬していくのかについて考察する。
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