2017 Fiscal Year Research-status Report
UCST型温度応答性高分子の機能制御と分子論理ゲートへの応用
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16K14002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内山 聖一 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (10401225)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子 / 刺激応答 / 温度 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、まずアクリルアミド(AAm)-アクリロニトリル(AN)共重合体について機能メカニズムの解明に取り組んだ。2種類の環境応答性蛍光団であるベンゾフラザンおよびベンゾクマリンを組み込んだ高分子の蛍光特性から、AAm-AN共重合体では相転移の前後で、高分子鎖近傍の微環境はほとんど変化せず、その温度(UCST)以下においては各高分子鎖が緩く会合し、相転移を引き起こしていることが分かった。また、その駆動力は従来提唱されている、AAmユニット間の水素結合や、ANユニット間の疎水性相互作用ではなく、ANユニット間の双極子-双極子相互作用であると結論づけた。 さらに本年度は、ウラシル誘導体(AU)とAAmの共重合体についても検討を進めた。各構成ユニット比を変化させたランダム共重合体を合成し、温度応答挙動を確認したところ、AUユニット比が大きい共重合体ほどUCSTが上昇することが分かった。先のAAm-AN共重合体と同様、溶媒や高分子の濃度、共存するイオンの種類等を変えながら応答の変化を観察し、現在その解析を進めているところである。 また、AAm-AN共重合体やAU-AAm共重合体をRAFT重合法によっても合成し、その温度応答挙動を観察した。合成したRAFT重合体の応答は、同じ組成のランダム共重合体よりいずれも応答が鋭敏であり、UCST型温度応答性高分子の感度は、ユニット比が一様であるかどうかによって大きく影響を受けることが判明した。一方、分子量の違いは感度にそれほど影響を与えないことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に、当初の研究計画調書に記載していた検討項目はほぼ全て終了し、研究のさらなる発展段階へと到達している。これまでに得られている実験データも多く、相応の成果が見込まれるが、一方で未だに原著論文としての報告には至っていない。これらの現状を総合して「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画に記載した項目はおおむね終了し、必要十分な追加実験をしながら、論文発表に取り組みたい。また、これまでに行ってきた国内の学会発表に加え、国際学会でも発表の機会を設けて世界中の研究者に向けて成果を発信していきたい。
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Causes of Carryover |
基金なので、無理に本年度に全て使用せず、未使用の研究費を次年度の学会発表の参加費等に充てることとした。
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Research Products
(4 results)