2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the Effect of junction-point structure on the properties of branched polymers
Project/Area Number |
16K14003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石割 文崇 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (00635807)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 高分子物性 / 高分子構造 / 分岐高分子 / 自己集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近我々は、三脚型トリプチセン(1,8,13-位置換トリプチセン)を分岐部位とした三本腕スターポリバレロラクトン(0,3-PVL)が、他の分岐構造を有する高分子と比べて有意に異なる物性(耐熱性、粘性率)を示すという、興味深い知見を得ていた。本研究では、三脚型トリプチセンを分岐部位として有する様々なスターポリマーを合成し、そのスターポリマーに特異的に発現する物性を明らかにする。平成28年度の検討により、様々な分子量(10 kDa、25 kDa、45 kDa)の0,3-PVLを合成し、低分子量の0,3-PVLほど高い粘弾性と耐熱性を有することを明らかとした。平成29年度にはその物性差の起源を調べるため、XRD測定を行った。PVLの融点以下の温度では、kDaの0,3-PVLからはPVLの結晶由来の回折に加え、トリプチセンが入れ子状集合構造を形成していることに由来する回折も観測された。さらに、PVL結晶由来の回折は消失したPVLの融点以上でも、三脚型トリプチセン入れ子状集合構造由来の回折は130°C程度まで観測され続けた。すなわち、0,3-PVLの高い粘性率や、耐熱性は分岐部位の三脚型トリプチセンの集合構造形成が起源となっていると考えられる。 平成28年度の検討により、ポリεカプロラクトン、ポリD乳酸を腕ポリマーとして持つ三脚型トリプチセンを分岐部位とするスターポリマーを合成しても、特異な物性差は発現しなかった。平成29年度には、より低融点のポリトリメチレンカーボネート(PTMC)を腕ポリマーとした0,3-PTMCを合成したところ、XRD測定において三脚型トリプチセン入れ子状集合構造由来の回折が観測され、粘度も他のポリマーと比較して向上した。このような物性差発現の腕ポリマー種依存性は、三脚型トリプチセンと腕ポリマーの相溶性に関係していると考えられるが、さらなる詳細な検討が必要である。
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Research Products
(4 results)