2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14005
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金澤 有紘 大阪大学, 理学研究科, 助教 (50621322)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 高分子合成 / カチオン重合 / 開環重合 / 共重合 / リビング重合 / ビニルモノマー / オキシラン / ケトン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高度に一次構造が制御された高分子の合成への挑戦として,リビング重合・異種モノマーの共重合・配列制御重合が同時に進行するような重合系の構築を目的とする。本年度はおもに,(1)リビング重合と異種モノマーの共重合の両立を目指したビニルエーテルとオキシランのビニル付加・開環同時リビングカチオン共重合に向けた検討,(2)ビニル付加・開環・カルボニル付加三元共重合系における配列制御に向けた検討,(3)オキセタンを環状モノマーとして用いた三元共重合におけるリビング系の設計の3つのテーマに沿って研究を進めた。 (1)では,トリフルオロメタンスルホン酸などの超強酸を用いることで,長寿命生長種の生成を伴うアルキルビニルエーテルとイソブチレンオキシドのカチオン共重合系を構築した。用いる超強酸の酸性度によって副反応の割合が変化し,生成ポリマーの分子量に影響することもわかった。 (2)では,ビニルエーテル,オキシラン,ケトンのカチオン三元共重合を種々のケトンを用いて検討し,シクロヘキサノンなどの環状ケトンが効率的な交差生長反応を伴った重合に有効であることを見出した。また,各モノマーの単独生長反応および副反応の抑制に向けて,種々の反応条件が及ぼす影響についても検討した。 (3)では,ビニルエーテル,オキセタン,ケトンのカチオン三元共重合において,非配位性の対アニオン種をもつトリチル塩を用いた開始剤系により,長寿命生長種の生成を伴った重合が進行してマルチブロック型のポリマーがすることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って研究を実施し,意義深い結果が得られてきていると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度として,リビング重合・異種モノマーの共重合・配列制御重合の3つの要素のうちの2つの要素が両立する系の構築を行い,それらを組み合わせて3つの要素をすべて同時に満たす系の設計に向けて検討を行う。アルキルビニルエーテルとイソブチレンオキシドのカチオン共重合系では,β-プロトン脱離反応などの副反応の抑制を目指して,超強酸の種類をはじめとする反応条件が重合挙動に与える影響について検討する。ビニルエーテル,オキシラン,ケトンのカチオン三元共重合では,さらに種々のモノマーを用いて検討し,単独生長反応が完全に抑制され,交差生長反応のみが進行してABC型の交互配列制御ポリマーが生成する系の設計を目指す。また,オキセタンを用いる系では,長寿命生長種が生成するために重要な要素について深く検討し,オキセタン以外のモノマーを用いた三元共重合系の設計を行う。
|
Causes of Carryover |
研究計画に沿って研究を進めた上で未使用額が生じたが,無理に使用する必要は無かったため,次年度に使用することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き,研究遂行のための物品費等として使用する。
|
Research Products
(5 results)