2016 Fiscal Year Research-status Report
分子の可逆的な結合と“すべり”を利用した超分子マテリアルの革新的物性機能の創出
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16K14006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 明 大阪大学, 理学研究科, 特任教授(常勤) (80127282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超分子材料 / 分子認識 / 自己修復性 / アクチュエータ / 分子接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の自己修復材料としては材料自体の力学特性を利用したものや切れても繋がる結合を用いたものが主流でしたが、「硬いものは傷ついても修復しにくい」という課題は解決されておらず、これを解決する新しい設計原理の自己修復材料の開発が望まれていました。 本研究では、ポリロタキサンという特殊な構造の高分子をベースとし、その間に可逆的な結合を導入した設計の自己修復材料を開発しました。この材料は、溶媒を含んだ状態では、切断・再接触させることで10分以内に強度が元の80%以上まで回復し、また溶媒を含まないバルクの状態では、表面につけた傷が30分以内にほぼ100%まで回復するという極めて速く効率の高い自己修復性を示すことを明らかにしました。 また異種材料接着においては、ethynyl基を有するヒドロゲル、及び、ハロゲン化アリールを有するヒドロゲルを作製し、これらの接触界面において、銅錯体を触媒として用いたクロスカップリング反応を通して、二つのヒドロゲルの接着を試みた。その結果、これら二つのゲルはカップリング反応により、強力に接着することが明らかとなり、ゲル界面における共有結合形成反応に成功した。また、同触媒を用いたクロスカップリング反応により、ethynyl基を有するヒドロゲルとハロゲン化アリールを表面修飾させたガラス基板との間、及び、ハロゲン化アリールを有するヒドロゲルとethynyl基を表面修飾させたガラス基板との間において接着がみられ、基板-ゲル界面においても、共有結合形成反応を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り順調に進んでおり、分子認識を通した異種材料間接着に成功した。またポリロタキサンを用いた自己修復性材料において、従来よりも速い自己修復を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、分子認識を通した異種材料の接着を試みる。また分子認識を用いた自己修復材料の開発にあたる。自己修復材料に関しては、ヒドロゲルだけでなく、乾燥状態においても修復性を示す材料作製を目指す。
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Causes of Carryover |
想定されたよりも消耗品の使用頻度が低く、試薬も企業などからの寄付で賄うことができたため、想定よりも低く抑えられた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、サンプルの成型化工を行うための器具が必要であり、それらを取り揃えるために、経費を支出する
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Research Products
(8 results)