2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14008
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
遊佐 真一 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00301432)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子ミセル / 静電相互作用 / ブロック共重合体 / 包接錯体 / 光異性化 / ベシクル / 刺激応答性 / 水溶性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の実施内容は、側鎖にホスホリルコリン基を含むベタイン型ポリマーのPMPCをマクロ連鎖移動剤として用いて、側鎖にスルホネートイオンを持つアニオン性ポリマー(PAMPS)および、側鎖に4級アンモニウム塩を持つカチオン性ポリマー(PMAPTAC)による反対電荷を持つジブロック共重合体(PMPC-b-PAMPSとPMPAC-b-PMAPTC)を合成した。これらのジブロック共重合体は、PMPCブロックが20量体で、イオン性ブロックの重合度が200量体のとき、水中で電荷を中和するように混合すると、ポリイオンコンプレックス(PIC)ベシクルを形成することを既に見いだしている。しかしこのPICベシクルは、外部刺激応答性が無いために、内包ゲスト分子を放出するためには、塩の添加でカチオンとアニオンの相互作用を弱めるしか方法がなかった。しかし静電相互作用を遮蔽するには、1.5 M以上の塩の添加が必要であり、生体内での使用には不向きであることが問題点だった。 本研究では外部刺激として光に応答してPICベシクルを崩壊して、内包ゲスト分子を放出する方法について検討することを目的とした。一つの方法として、光照射により結合が壊れてアニオンを生じる側鎖の利用が考えられる。つまりPICベシクルなどの静電相互作用による会合体は、電荷のバランスが極めて重要である。通常のPICベシクルの場合、電荷をちょうど打消したときにベシクルが形成されるが、電荷バランスがずれるとベシクルは崩壊してしまう。したがって、光照射でアニオンを生じる官能基を用いることで、光照射によりアニオンを増加して、電荷のバランスを崩すことでミセル構造を破壊するということを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホスホベタイン型ポリマーのPMPCとアニオン性のPAMPSおよび、カチオン性のPMAPTACによるジブロック共重合体を可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)型制御ラジカル重合法で合成した。反対電荷のジブロック共重合体の水溶液の電荷を中和するように混合することでポリイオンコンプレックス(PIC)ベシクルを形成することを確認した。また、混合比をずらすとベシクル構造が壊れることも動的光散乱(DLS)測定と透過型電子顕微鏡(TEM)観察で確認した。これらの実験結果により、PIC会合体形成には混合するポリマーの電荷のバランスが極めて重要であることを確認できた。 さらに光で開裂する官能基としてo-ニトロベンジルメタクリレートを合成して、重合した。このポリマーの水溶液に紫外光を照射すると、側鎖のo-ニトロベンジル基が脱離して、メタクリル酸を生じることを、可視-紫外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、DLS測定、TEM観察により確認した。このポリマーを用いることで、光の照射時間の変化で自由にアニオン性のカルボキシレートイオンの量を調節できる。したがって、PICベシクルの中にこのo-ニトロベンジルメタクリレートを構成成分として導入しておくと、光照射でアニオンが増えるため、PIC中の電荷バランスが崩れてPICベシクルが崩壊して、内包ゲスト分子を制御放出できるようになると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
まず実験を単純化するために、メタクリル酸とo-ニトロベンジルメタクリレートによるランダム共重合体を精密ラジカル重合法で合成する。このように合成したアニオン性ポリマーと、カチオン性のPMPC-b-PMAPTACの電荷を中和するように混合したときに、PICベシクルを形成するのかを、DLS、静的光散乱(SLS)、NMR、TEM観察などにより調べる。PICベシクルの形成に成功した場合は、その水溶液に紫外光を照射して、側鎖のo-ニトロベンジル基を脱離させて、メタクリレートを生じさせアニオンの数を増加する。これにより電荷のバランスを壊してPICベシクルの構造にどのような変化が観測されるのかを調べる。もし、光照射によりベシクル構造を解離できるようならば、電荷を持たない親水性のゲスト分子をPICベシクル内に取込ませて、光照射による制御放出を行うことが可能かを蛍光法を用いて確認する。 さらにPMPCをマクロ連鎖移動剤に用いて、PAMPSとo-ニトロベンジルメタクリレートをランダム共重合することで、側鎖にo-ニトロベンジル基を含むアニオン性ジブロック共重合体を合成する。このアニオン性ジブロック共重合体とカチオン性のPMPC-b-PMAPTACを混合することで、PICベシクルを形成するのかをDLS、SLS、NMR、TEMなどを用いて多角的に調べる。さらにこのPICベシクルに紫外光を照射して、側鎖のo-ニトロベンジル基を解離したときにPICベシクルが崩壊するのかを調べる。
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Causes of Carryover |
今年度は予想より少ない試薬量で実験を行うことができたため、次年度に使用する。
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[Journal Article] Mesoporous Iron Oxide Synthesized Using Poly(styrene-b-acrylic acid-b-ethylene glycol) Block Copolymer Micelles as Templates for Colorimetric and Electrochemical Detection of Glucose2017
Author(s)
S. Tanaka, Y. V. Kaneti, R. Bhattacharjee, M. N. Islam, R. Nakahata, N. Abdullah, S. Yusa, N. Nguyen, M. J. A. Shiddiky, M. S. A. Hossain, Y. Yamauchi
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Journal Title
ACS Applied Materials & Interfaces
Volume: 10
Pages: 1039-1049
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Self-assembly of polymeric micelles made of asymmetric polystyrene-b-polyacrylic acid-b-polyethylene oxide for the synthesis of mesoporous nickel ferrite2017
Author(s)
S. Tanaka, B. P. Bastakoti, Y. Li, S. Yusa, D. Ishi, K. Kani, A. Fatehmulla, A. Farooq, M. JA Shiddiky, Y. Bando, Y. V. Kaneti, Y. Yamauchi, Md S. A Hossain
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Journal Title
European Journal of Inorganic Chemistry
Volume: 2017
Pages: 1328-1332
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Polymeric anticoagulants based on poly (2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonic acid) block polymers2017
Author(s)
K Szczubiaka, B Ka;aska, K Kamski, J Mik;osz, S Yusa, E Sokoowska, A Bejczyk, J Wietrzyk, D Pawlak, M Nowakowska, A Mogielnicki
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Journal Title
Engineering of Biomaterials
Volume: 20
Pages: 73
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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