2016 Fiscal Year Research-status Report
単一生細胞内の酵素分子数を絶対定量する革新的光分析法の開発
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16K14016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 岳昌 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40302806)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イメージング / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,蛍光標識された特定分子を全反射蛍光顕微鏡により輝点観測するための顕微鏡システムの立ち上げと,位置精度の検証,ならびに輝点の実計測を行った.具体的には,全反射蛍光顕微鏡のステージを超解像顕微鏡仕様に改良した.またEM-CCDカメラにより取得される蛍光画像から高速に輝点を同定し,画像処理を行うプログラムを作成した.対象とする分子はBakタンパク質とした.Bakタンパク質にmEos3を連結したプローブをBak欠損細胞に発現させ,細胞固定後にmEos3の分子数を計測することとした. Bakの生理的機能がmEos3標識によって阻害されないことを,活性型Bak特異的抗体を用いた免疫染色法で確認した. 次に,プローブ発現細胞にアポトーシス刺激として紫外線を照射し,一定時間後に細胞をパラホルムアルデヒドで固定し,細胞内に局在するmEos3の蛍光輝点を観察した.コントロールとして,紫外線非照射の細胞も同様の条件で固定化を行い,蛍光観察を行った.その結果, いずれの細胞においてもミトコンドリア上に局在するBak凝集体の蛍光画像が得られた. また,mEos3の単一の蛍光輝点から中心位置の算出を行い,超解像画像の作成を行った.平行して輝点数をカウントすることにより,観察領域に存在するBak分子数を計測した.約300個の凝集体のサイズ評価を行ったところ, 直径が100-1000 nm, 一凝集体あたりのBak分子数が50-1700存在することがわかった.以上より,mEos3を用いた蛍光輝点の分子数計測技術を開発することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重要な技術的課題の一つであるmEos3 (申請段階ではmEos2)の1分子観察による分子数計測技術を早期に確立することができた.顕微鏡の立ち上げから,計測のための画像処理法など難しい課題をクリアーすることにより,蛍光標識したタンパク質の視野内の分子数を計測できるようになった.もう一つの技術課題である光活性型のルシフェラーゼ(PA-Luc)の開発はまだ進行中であり,PA-Lucが完成すれば最終目的である細胞内ルシフェラーゼの計測が実現可能となる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
技術課題である光活性型のルシフェラーゼ(PA-Luc)の開発を引き続き行う.光吸収により構造変化するLOV2のみならず,最近新たに見出されている光受容タンパク質も候補分子として,2分割したルシフェラーゼの切断位置,ならびに接続に必要なリンカーアミノ酸の長さなどを探索し,最適な光応答するPA-Lucを開発する.次に,PA-LucとmEos3を2Aペプチドで連結したコンストラクトを作製し,細胞内に発現させる.ルシフェラーゼの発光値を計測するのと平行して,細胞内のmEos3分子数を計測する.最終的には,細胞内に存在する未知数のルシフェラーゼ分子数計測を実現する予定である.
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Causes of Carryover |
平成28年9月に,ルシフェラーゼの光操作ツールの評価実験に使用していた共焦点レーザー操作型蛍光顕微鏡装置に不測の故障が生じたため,当装置の修理・調整が必要となり,光操作ツールの評価実験の再開までに6ヶ月間を要した.そのため実験に遅延が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年6月までに次年度使用額の全額を,光操作ツールの評価実験のための消耗品として使用する.
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Research Products
(9 results)