2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14054
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 祥子 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (50342853)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エネルギー変換 / 熱エネルギー / 発電 / クリーンエネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究の目的> 現状の熱電変換デバイスは高温部と低温部を必要とするpn接合型である。もしpn接合がなくても整流性が生じる熱電発電システムが構築できれば、熱源さえあれば発電し、エネルギー密度の小ささをシステムの面積・体積でカバーできる、革新的な熱電発電システムの実現が期待できる。本課題では、そのような熱電発電を、色素増感型太陽電池の仕組みを応用することで作り上げることを目的とした。これまでの研究成果により、半導体の熱励起電荷により、増感型太陽電池と同様の、電解液イオンの酸化還元による発電機構が確認できた。また光励起と異なり、熱励起の場合では電解質内のイオン平衡も考慮すべきことが判明した。これらの原理の解明により、放電時間・放電電流の最大値を求める理論式を構築した。 <研究実施計画> 本目的を達成するために、I)現状で温度差不要の発電が確認されたβ-FeSi2/銅イオン伝導体系において、特にイオン伝導体内部でのイオンの移動を追跡し、原理検証を行い、II)低温作動や高エネルギー変換効率をめざし、この「ゼーベック効果を使わない温度差不要の熱電システム」の設計モデルのまとめ上げを試みる。そのために、①電子バンド計算とフェルミ・ディラック分布により熱下での電子エネルギー分布計算をし、理論的なバンドマッチングを行う、②選定された材料の耐熱性を吟味し、加工法・薄膜成形法を確立し、薄膜積層型の発電システムを作製する、③発電特性を測定し、①の結果にフィードバックをかけ、目的を達成する。ことを経過した。すでに、半導体の種類を検討することにより、日本で大量に排熱される200℃以下の温度でも発電を行うことができた。放電時間は放電電流の値により異なるが、数か月以上放電することも可能であった。 これらの成果のうち、発表できるものに関しては学会発表・論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究費をご採択いただく前は原理確認段階であったが、現在では複数の企業からサポートを頂戴し実用化段階に入っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている知的財産の共同出願をなるべく早く行い、数社との共同研究をスムーズに平行して行う体制を作る。もちろん、実用化を目指し、より軽く・薄く・長寿命の電池を作製する。
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Causes of Carryover |
企業から2017年度中に使用すべき共同研究費を頂戴したため。本次年度使用額は金属ターゲットなどの消耗品に充てる予定。
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