2016 Fiscal Year Research-status Report
ソーラー試験による熱-光ハイブリット活性水分解デバイスの創製
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16K14056
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
児玉 竜也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60272811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 水素 / 熱化学サイクル / 光触媒 / 太陽集光 / 太陽熱 / 反応性セラミック |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽集光をエネルギー源として運転される二段階水熱分解サイクルの反応媒体である反応性セラミックに,光半導体特性を有する金属酸化物をドープし, これを用いて発泡体構造の反応デバイスを作製する。これを可視光照射によって反応試験することにより,従来よりも低温において作動する「熱-光ハイブリッド活性型反応性セラミックデバイス」の創製に挑戦する。 28年度は,上記の反応デバイスを小型で作製し,これをキセノンアークランプからなる太陽集光シミュレータを光源として使用して反応試験した。水熱分解サイクルに高い活性を持つセリウム酸化物(セリア)に鉄,タングステン,インジウム,あるいはマンガンの金属酸化物をドープした。固相の構造解析の結果,Fe, Mnドープにおいては,ドープ量が15mol%以下であれば,鉄あるいはマンガン酸化物と,セリウム酸化物の間で完全固溶体が形成されることが分かった。これらの他金属ドープセリアを,小型のジルコニア発泡体にスピンコート法により担持して小型発泡体反応デバイスを作製し,透明石英窓を備えた小型反応器に装填,太陽集光シミュレータからの疑似太陽集光を直接照射して,二段階水分解サイクルに対する反応活性を試験した。その結果,FeあるいはMnドープセリアを担持した発泡体反応デバイスについて二段階水分解サイクルの熱還元反応の活性が,非ドープセリアを担持したデバイスと比較して向上することが見出された。熱還元反応後は酸化物イオンが欠損したセリア酸化物が一相で形成されることが分かった。これは,非ドープセリアが熱還元後に,酸化物イオンが欠陥した部分と欠陥のない部分の二相を形成するのとは異なっている。すなわちFe,Mnドープによってセリアの結晶構造中で酸化物イオン欠陥サイトの形成が相全体にわたって促進され,酸化物イオン欠陥のクラスター化が避けられる機構が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,光半導体特性を有する金属酸化物をドープした発泡体構造の反応性セラミックデバイスを小型反応デバイスとして複数作製し,FeあるいはMnドープセリアについて二段階水分解反応の熱還元反応の活性が向上することを見出した。これを大型デバイス化すれば次年度に計画される45kW太陽炉でのソーラー試験が行えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
FeあるいはMnドープセリアを第一候補として,さらに他金属酸化物のドープについても小型反応デバイスで試験し,29年度の後半に大型反応デバイスのソーラー反応試験を韓国エネルギー技術研究院(KIER)所有(韓国大田市)の45kW太陽炉で行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度末(3月後半)に実施した国内旅費,及び購入した物品が平成29年度4月に支払われるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに平成28年度末(3月後半)の国内旅費と同時期に購入した物品費として使用済みである。
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