2017 Fiscal Year Research-status Report
多孔性分子結晶の面選択的接合を介した異方集積体ポーラス材料の創製
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16K14060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田代 省平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80420230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多孔性結晶 / ポーラス材料 / 面選択的接合 / ナノチャネル / 異方集積化 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔性結晶を異方的に集積化して機能性バルク材料を創製するためには、結晶接合面を合理的に設計して複数結晶を配向選択的に集積化する必要がある。我々はこれまでに、環状錯体集積型多孔性結晶Metal-Macrocycle Framework (MMF)を開発し、その結晶細孔内を分子配列場、触媒反応場、反応観察場として活用できることを報告した。また本課題における前年度の成果において、異なるハロゲン配位子を持つ2種類のMMF結晶をコア-シェル型に成長させることによって、配向選択的に2種多孔性結晶を接合できることを見出し、各種顕微分光法や単結晶X線回折測定から望み通りのコア-シェル結晶が形成していることを明らかにしている。そこで当該年度は、コア-シェル型に接合されたMMF結晶の細孔内を分子輸送場、連続化学反応場として活用することを目的として研究を進めた。例えばコア-シェル型MMF結晶のコア部にあらかじめ色素分子を導入したところ、チャネル方向に沿って色素がコア部からシェル部へと異方的に拡散することを顕微鏡観察により明らかにした。また、同様の結晶作成手法を用いることにより、コア部に様々な分子を導入したコア-シェル型MMF結晶を作成することもできた。さらにこの技術を発展させ、コア部、シェル部それぞれに異なる触媒分子を空間特異的に導入した結晶を作成し、これらの異種触媒導入型コア-シェル結晶を用いて二段階変換反応を検討したところ、結晶細孔内で二段階生成物まで変換されることがNMR測定などより示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、前年度に開発したコア-シェル型多孔性結晶MMFの作成技術に基づいて、異種多孔性結晶の異方的な接合に基づく物質輸送や化学変換反応についての検討を進め、ある程度期待通りの結果を得ることができたことから、本課題は当初の目的に沿っておおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の推進方策としては、まず前年度と当該年度に得られた結果を学術論文としてまとめて出版することを目指す。さらに、本技術を基盤として、より高次な多段階反応場の設計や、物質輸送と分子変換を協働的に活用した新しい異方性ポーラス材料を開発することを目指すとともに、本手法が機能性材料の創製において有効なアプローチであることを実証していく。
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Causes of Carryover |
当初の計画に従って二種多孔性結晶のコア-シェル化による異方集積化法を開発し、その細孔内を二段階反応場として活用できることを見出したが、本成果をより高いレベルで完成させるためには、さらなる検証実験とともに得られた成果を論文にまとめる必要がある。そこで次年度は、これらの実験を進めて必要なデータを取得するとともに、成果をまとめて論文として投稿するための費用として、物品費や旅費、その他の費用を活用していく予定である。
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