2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 孝史 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60324745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二次元ポリマー / 炭素材料 / ハニカム構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、三回対称性のプロペラ型分子のブロモ誘導体を金基板上で重合させ、ハニカム二次元ポリマーの合成に挑む。さらには、この二次元ポリマーをテンプレートとして、CVD法により基板垂直方向にポリマーを成長させることで、ハニカム構造を有するメソポーラス柱状炭素の合成にも挑む。二次元的な広がりを持つ柱状炭素を合成した例は今まで存在せず、合成法の確立は学術・産業の両面にインパクトを与えると期待される。 今年度の目標は、従来20%程度であったプロペラ型分子のブロモ化の収率を向上させることと、基板上でそのブロモ誘導体の重合反応を起こさせることであった。まずは、ブロモ化の反応条件検討を行った。条件検討では、ブロモ化剤の種類、反応温度、反応濃度、反応溶媒を変更し、収率向上を目指した。その結果、収率を40%程度まで向上させることが出来た。また、ブロモ以外のハロゲン置換基として、クロロ基やヨウ素基の導入を行う反応開発にも成功した。 一方、基板上での重合反応については、共同研究者の装置を用いて、プロペラ型分子のヘキサブロモ誘導体の重合を試みた。ブロモ誘導体を基板上に溶液塗布した後に、AFMを用いて基板上における分子の状態を確認したところ、そのブロモ誘導体は基板上で分子が垂直に立つような吸着状態となり、そこから重合が進行することで、プロペラ型分子の一次元鎖が得られることがわかった。予想を超える重合体が得られたことから、現在その活用法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブロモ基導入の収率を90%まで向上させるつもりであったが、かなり激しい反応条件を用いても、収率は40%程度止まりであった。混み合った場所に嵩高いブロモ基を複数導入するためには、さらなる反応条件検討が必要となる。 基板上での重合反応ではハニカム二次元ポリマーの形成を期待していたが、予想に反し一次元鎖が得られた。一次元鎖はブロモ基が基板に垂直に配向している構造を取っていることから、官能基変換により様々な機能を付与した一次元鎖を得ることが可能となる。また、その一次元鎖の構造も興味深い。芳香環が極度に湾曲した一次元鎖になっている可能性もあり、これまでにない全く新しいタイプの芳香族ポリマーが得られている可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
予想に反して得られた一次元鎖については、その構造の確認を行う。さらには、基盤に対して垂直に配向したブロモ基の官能基変換も行い、一次元鎖の機能化を図る。また、異なるハロゲン(クロロ基、ヨウ素基)誘導体の重合反応も試みる。ブロモ誘導体とは異なる構造のポリマーが得られる可能性があり、その構造多様性に興味が持たれる。 一方、当初の狙いとしていたハニカム二次元ポリマーについては、分子の基板への吸着条件や重合反応の条件検討を行うことにより、達成したいと考えている。ハニカム二次元ポリマーが得られた後は、CVD法によりメソポーラス柱状炭素の合成に挑む。
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Research Products
(3 results)