2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of materials that transport compounds on solid surface by photoirradiation
Project/Area Number |
16K14069
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
則包 恭央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50425740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光応答性有機材料 / 光異性化 / 結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、平坦な固体基板表面を光で物質を輸送する、画期的な分子運搬材料を創製することを目的とする。研究代表者らが新たに発見した、光照射によって固体基板上を結晶が移動する現象を利用し、移動を起こす化合物に他の目的化学種と化学的、あるいは物理的に結合させた複合体を形成する。そして、光照射によって複合体を目的の位置に移動させる。以上により固体基板上において物質を光で自在に運搬する材料を創製し、流路等に頼らない全く新しい物質運搬法を提案する。本研究は、次の三つの段階を設定して研究を進める。①アゾベンゼン誘導体に限定した光で移動する分子のライブラリーを作成する。この中で良好な移動特性を持つ化合物を見出す。ここで得られた知見を基に、②最適な複合体形成手法を開発し、最後に③複合体としての物質輸送能力を評価する。 今年度は、上記①および②について前年度に引き続き検討を行った。①においては、アゾベンゼンにアルキル鎖、アミノ基およびハロゲンを置換した化合物群に加え、ベンゼン環の代わりにピリジン環を置換した化合物ついて、化合物の構造と融点、吸収スペクトル、および光応答性について検討を行い、光で移動するための分子構造および光照射条件の最適化を行った。その結果、光で移動するためには、アミノ基およびハロゲンの置換位置が重要であるとの知見を得た。さらに、紫外光を使用せず、可視光のみで移動する分子を見出した。②においては、アミノ基が置換した化合物および化学修飾された量子ドットとの複合化について検討した。加えて、顕微鏡観察下における光異性化を確認した。また、③については、ピリジン環が置換したアゾベンゼンに対して、フェノール誘導体または安息香酸誘導体との複合体形成について赤外分光および顕微鏡観察により検討した。その結果、複合体の形成は確認されたが、光応答性向上には分子構造の最適化が必要であるとの知見を得た。
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