2017 Fiscal Year Annual Research Report
Preparation of perfect clean surface by construction of non-freezing water layer
Project/Area Number |
16K14073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90193341)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリマーブラシ構造 / 水の構造 / 表面機能化 / 着氷防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
基材表面に着氷する現象は、界面の水が氷型構造をとりにくくすることで解消でき、新しい着氷防止表面の開拓が可能となると考えた。そこで、ポリマー溶液中の水の構造に着目し、優れた防汚性と耐着氷特性を示す表面構築と、その材料の製造技術の基礎に関する研究を行なった。水の凍結は、(1)水分子の特異的水素結合ネットワーク形成による、(2)ポリマーの官能基は水素結合ネットワーク形成に摂動を与える、(3)不凍水による表面での流体潤滑を実現することで物質の接着を阻止できる、との3つの基本となる仮説をたて、界面の微細構造構築とその表面に適用するポリマー特性を複合し、表面にnmオーダーで不凍水層を形成させることを基盤として、付着物が安定に留まらない表面の作製し、この機能評価を行なった。まず、金属表面に原子移動ラジカル重合)開始基を固定化し、ここからカルボキシレート基を有するモノマーを重合した。この際にポリマーブラシ層の厚さが、流体潤滑するために必要な100-300nmになる条件を設定した。カルボキシレート基にアルカリ金属イオンとして、リチウムイオン、ナトリウムイオンを反応した表面を作製した、得られたポリマーブラシ構造を、X-線光電子分光、顕微多重反射赤外分光、液中エリプソメトリー、および界面近傍の透過型電子顕微鏡観察により解析した。一定の湿潤状態を担保し、ポリマーブラシ層中に存在する水分子の構造について検討した。寒冷地の擬似環境において、ポリマーブラシ層を形成した各種基材の着氷状態の経時変化を観察した。さらに、実際の屋外での使用では、各種付着物が多くなることが予想されため、ポリマーブラシ層の効果について屋外に基板を放置することで評価した。結果として、ナトリウムイオンを含むポリマーでは、氷の漂着に大きな変化が認められなかった、一方、イオンをリチウムに変更すると、氷の脱着効果が亢進された。
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