2016 Fiscal Year Research-status Report
パンタグラフの駆動を分子レベルで模倣した伸縮自在な機能物質の創出
Project/Area Number |
16K14074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本多 智 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10711715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子機械 / 開環重合 / 高分子アーキテクチャ / 刺激応答材料 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主鎖繰り返し単位に分子機械を有し分子量が制御された主鎖型高分子機械(MMMP)を開環重合(ROP)法により合成し、MMMPの高分子アーキテクチャを組換える方法論の開発を目指した。 分子機械をはじめとする比較的大きな原子団を高分子の繰り返し単位に組込むには、従来、重縮合法を採用されてきた。しかし、重縮合法では分子量を揃えることと高分子アーキテクチャを組換えることが困難であった。一方、環歪みの解消を駆動力に進行するROP法も分子機械を繰り返し単位に導入しうる重合法だが、分子機械を含む環状モノマーは中・大員環とならざるを得ず、一見、分子量の揃ったMMMPを合成することは困難であった。この問題に対して本研究では、分子機械の駆動によって環歪みを誘起できる環状分子機械を設計・合成できれば、ROPによって分子量の揃ったMMMPを合成できると考えた。そこで先ず、アゾベンゼンまたはスチルベンを分子機械の駆動部位として有し、重合性官能基としてエステルまたは炭酸エステルを持つ環状分子機械群の合成を試みた。アゾベンゼンやスチルベンは光異性化反応によってcis体とtrans体との間で立体配座が切換わるため、環歪みの誘起に好適であると考えた。続いて、これらの環状分子機械に対して、様々な触媒存在下で開環重合を試みたところ、開環反応の進行が認められた。また、MMMPのアーキテクチャを組換える方法論の開拓についても研究をすすめ、星型、環状、ブラシ状など様々なアーキテクチャの高分子合成を達成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アゾベンゼンおよびスチルベンを駆動部位にもち、重合性官能基を有する環状分子機械群の合成を達成した。また、高分子アーキテクチャを組換える方法論についても研究を進め、論文発表および学会発表に至っている。一方で、分子量の揃ったMMMP合成のための開環重合反応の制御はまだ十分とは言えず、更なる検討の余地が残っている。これらのことから、本研究課題はおおむね順調に進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開として、環状分子機械の環サイズの増加・減少に伴う重合性の変化を検討するとともに、高分子の末端を開始点とする環状分子機械のROPによりブロック共重合体を合成し、その自己組織化挙動を調べる。
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Research Products
(2 results)