2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of Mechanoluminescent Nanofiber sheets
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16K14076
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 英幸 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00293051)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子・繊維材料 / 高分子反応 / 力学応答性高分子 / ナノファイバー / 応力発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、メカノクロミック高分子の大量合成法の確立を目指すところから研究に着手した。メカノクロモフォアであるテトラアリールスクシノニトリル(TASN)のジオール誘導体(TASN-diol)を、市販品試薬を出発原料として4ステップで大量合成する手法を確立できた。また、得られたTASN-diolおよびポリオール、さらには二官能性のイソシアネートを用いた重付加反応を行い、対応するセグメント化ポリウレタン(TASN-polyurethane)の合成も大量スケールで行うことに成功した。さらに、TASN-diolを開始剤として用いて、ε-カプロラクトンの開環重合により、分子鎖中央部分にTASN骨格を有するポリエステルを合成した。 核磁気共鳴(NMR)測定、赤外分光(IR)測定、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定等により、高分子の生成を確認した。また、TASN-diolとポリオールの比率を変えることで、溶解性の異なるサンプルを合成した。 上記の合成と並行して、ナノファイバー紡糸のためのエレクトロスピニング装置を利用して、ナノファイバーシートの調整条件の検討を行った。TASNを含まないコントロールサンプルを用いて条件検討を行った結果、ナノファイバーシートが得られた。生成の確認は、目視および走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。 TASN骨格を有するセグメント化ポリウレタンの応力発光性評価は、モデル実験としてフィルム状のサンプルを用いて目視およびビデオ動画等を利用した画像解析等によって行った。さらに、電子スピン共鳴(ESR)測定法を用いて、応力により生成するラジカル種の定性および定量を検討した。生成するラジカル種は、期待通りにg値が2.003を示したことから、TASN骨格の中心に位置している炭素-炭素共有結合が均一開裂して生成したものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに、下記の3点が達成できたために、おおむね順調に進展していると判断した。 1)メカノクロミック高分子の大量合成法が確立できた。 2)ナノファイバー紡糸のためのエレクトロスピニング装置の最適化ができた。 3)モデル実験として、TASN骨格を有するセグメント化ポリウレタンフィルムの応力発光性が評価できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた知見を基にして、当初計画どおりに、TASN骨格を有する高分子のナノファイバーシートを作製し、応力発光特性の評価を行う計画である。ポリマーのサンプルは、平成28年度に作製したものを利用する予定である。 高配向ナノファイバーシートの調製は、コレクター部分を平板コレクターからドラムコレクターへ交換することにより行う。ドラムコレクターを用いることで、高い配向性を有するナノファイバーシートを調製できる。得られるナノファイバーシートに関して、配向方向に対して垂直および平行方向の応力を印加することで、異方性を評価する。特に、平行方向にサンプルを延伸することで、応力発光特性の感度が大幅に向上することを期待している。 必要に応じ、分子設計や合成のステージにフィードバックを行い最適化も進める。最終的には全ての結果を系統的に総括し、動作原理を確立する。
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Causes of Carryover |
最適化に時間と予算をかける計画であったが、予想よりも順調に進行したため、使用額が予定よりも減ったことで、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究を計画どおりに進める予定である。次年度使用額を有効活用して、外部での成果発表やアウトリーチ活動等を多くできるように努める計画である。
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Research Products
(11 results)