2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノカーボン表面機能化による金属-空気電池の高性能化
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16K14084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤ヶ谷 剛彦 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30444863)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低消費電力・高エネルギー密度 / ナノチューブ / 高分子合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウム空気電池における問題の1つとして、Li2O2によるカソード極の目詰まりがある。放電反応によって有機電解液に対して不溶なLi2O2が生成しカソード極に堆積する際、Li2O2は局所的に凝集体として堆積するため細孔に目詰まりを引き起こし、酸素や電解質及びイオンの拡散や電子伝導性を低下させ放電反応が停止する。このような凝集体形成によって放電容量の低下などが引き起こされる。その他の問題として、高い過電圧が挙げられる。過電圧を下げるために貴金属を担持したカーボン材料が用いられているが、貴金属は高価かつ枯渇資源であり、代替手法が求められている。そこで本研究室はこのような問題の解決策として、ポリマー被覆法を提案している。ポリマー被覆法においては、ポリマーを適切に選択することでカーボン材料表面を均一に機能化できる利点がある。さらにLi+捕捉能を有したポリマーで電極を被覆することで、電極表面にLi2O2を均一に堆積させようと考えた。Li+捕捉方法としては、Li+の配位と酸化還元反応に伴うLi+の結合の二つの方法について検討した。カソード極:1 mg cm-2 CNT複合体、アノード極:Li金属、電解質:1.0 M Lithium bis(trifluoro methanesulfonyl)imide (溶媒: Ethylene Carbonate (EC) /Diethyl Carbonate (DEC) (体積比 3:7)) 、で構成されたセルを用いて評価を行った。セル測定の結果、分散CNT電極ではこれまでのCNT電極と比較して、放電容量の増加が見られた。これは、バンドル度の低減によるものと考えられる。充放電過電圧は分散CNT電極の方がCNT/PyPBI電極よりも大きいことから、PyPBI被覆が過電圧低減に有効であることがより公平な条件で示されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展し、論文投稿にも至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
以上まででPyPBI被覆が過電圧の低減に効果があったことが示された。しかし、まだ依然として過電圧は高く、更なる過電圧の低減が必要である。そこで本研究では新たなポリマーでCNTを被覆することによる更なる過電圧の低減を目的とした。新たなポリマーには、よりLi+ との強く結合するものを使用し、過電圧の低減を試みる。その戦略として、キノン類似構造を導入する。キノンは酸化還元反応によってLi+と可逆的に結合することが知られている。また、非プロトン溶媒中でO2のO2- への還元を触媒することから、リチウム空気電池において、電解質に添加することでLi2O2の生成を促進され放電過電圧が減少したという報告がなされている1)。そこでポリイミド (PI) を新たなポリマーとして使用する。
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Research Products
(3 results)