2016 Fiscal Year Research-status Report
弾性曲率空間場の精密ナノ構造制御による全方位型メカニカル微小発電素子の開発
Project/Area Number |
16K14085
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
遠藤 洋史 富山県立大学, 工学部, 講師 (90455270)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンクル / 超撥水 / 酸化亜鉛ナノロッド / 濡れ性 / PDMS / 金属蒸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は傾斜蒸着法という独自の手法により、規則的な周期構造を有する微細リンクル構造表面の片側凸面へZnO ナノロッドを位置選択的に成長させることを目的として実験を進めた。 PDMS基板を伸張しながら、短時間のプラズマ処理を施し、銀蒸着を行った。その後伸張を解放することによりリンクル構造を構築した。このリンクル構造を別のPDMS基板に転写し、傾斜蒸着法により、リンクル構造の片面に金属を蒸着させた。その後、低温液相プロセスにより、金属が付着したリンクル構造の片面から選択的にZnOナノロッドアレイを成長させた。作製した構造についてSEMを用いて表面・断面解析を行った。併せて、接触角測定から片面ナノロッド成長基板特有の濡れ異方性の抽出と理論解析を行なった。 リンクル構造に傾斜蒸着を行うと、金属は影の領域には蒸着されず、凸面の片側のみに蒸着できた。SEM像のコントラストから蒸着領域を定め、傾斜角と蒸着領域の関係を調べたところ、理論的な予想とほぼ一致した。すなわち、傾斜角によって蒸着領域を制御できることがわかった。傾斜蒸着を施した基板を低温液相プロセスによりZnOナノロッドを成長させた結果、傾斜蒸着で銀が付着した面から、ZnOナノロッドが選択的に成長した。これは、銀の立方最密充填と亜鉛の六方最密充填との格子整合が高いため、ZnOの核が優先的に生成し、銀表面でZnOがヘテロエピタキシャル成長した結果と考えられる。一方、銀が蒸着されていないPDMS表面は、高い疎水性のために核の吸着が起きにくく、ZnOが成長しなかったと考えられる。以上のことから、簡便なZnOナノロッドの位置選択的な成長方法の開発が達成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
傾斜蒸着法と低音液相プロセスを組み合わせることにより、これまに報告されていないリンクル片面からの精密なナノ制御法を確立することができた。また、作製した基板の異方的な幾何学特徴が濡れの異方性(方向によって液体の保持力が異なる)を発現させることを示し、ZnOナノロッドの長さを制御することで異方性が発現する最適条件を導くことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ZnOナノロッドとPDMSフィルムの柔軟性を活かした発電素子の作製に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に必要な高額機器を購入できたが、未使用分額だけではその他の必要な物品購入ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究に必要な物品購入に充当する予定である。
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