2016 Fiscal Year Research-status Report
固体電解質内部におけるLiイオン濃度分布測定:長年の謎の解明
Project/Area Number |
16K14088
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一杉 太郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90372416)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 固体電解質 / リチウムイオン電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
「固体電解質に電圧を印加すると、固体内のイオンはどのように再分布するのだろうか?」 この課題は固体電気化学における最も重要な問題でありながら、実験的な証拠はこれまで無いに等しい。そこで、本研究では、この問題に対して、明確、かつ、定量的な回答を得ることを目標とする。 本研究は、全固体Li電池の「固体電解質/電極界面において、いかにして高速なイオン伝導を実現するか」という重要な課題解決と直結している。
具体的には、Liの固体電解質に電圧を印加しつつ、ラザフォード後方散乱、核反応分析法(NRA)によって、Li濃度の深さ分布を測定した。「電圧を印加しながら」がポイントであり、深さ数10 μm(NRA)までの測定範囲で、Li濃度分布の電圧依存を計測したところ、Liイオン濃度分布がバルク領域とは異なる範囲が8 - 10 μmオーダーに及ぶことがわかった。そして、固体内部のLi分布が電圧によって大きく変化することを明らかにした。 さらに、電気化学インピーダンス測定と組み合わせて解釈を行ったところ、固体内で固体電解質が分解し、Li濃度が数十パーセントも変化することを明らかにした。このように固体内部におけるLiイオン分布を明確化したところに意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体内部のLi分布について計測に成功し、かつその解釈もすることができたため、 概ね順調に進展していると判断できる。さらに、課題も明確になってきた。 μmオーダーでの挙動が分かってきたが、界面近傍のnmオーダーでのLiイオン分布について は解決する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
電圧に応じたLiイオンの再分布を理解することを目指し、中性子線回折法を活用する予定である。 固体電解質に電極を形成した構造だけではなく、 全固体Li電池を作製し、それを動作させながら中性子線反射率を測定する。 それによりnmオーダーの空間分解能で、界面近傍のLi濃度分布を計測する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 中性子反射率法を用いたLiCoO2正極/固体電解質界面におけるLi分布の解析2017
Author(s)
小林 成, 杉山 一生, 清水 亮太, 花島 隆泰, 宮田 登, 武田 全康, 一杉 太郎
Organizer
小林 成, 杉山 一生, 清水 亮太, 花島 隆泰, 宮田 登, 武田 全康, 一杉 太郎
Place of Presentation
東京
Year and Date
2017-03-25 – 2017-03-27
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