2016 Fiscal Year Research-status Report
共晶融液からの単結晶コンポジットの結晶成長によるSiCエピタキシャル基板の創製
Project/Area Number |
16K14089
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
且井 宏和 東北大学, 金属材料研究所, 特任准教授 (70610202)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 共晶 / 非酸化物 / 自己組織化 / 導電性基板 / 炭化ケイ素 / 溶融凝固 / エピタキシャル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、SiCを含む共晶融液からの自己組織化をともなう凝固過程を利用して、高品質なSiCエピタキシャル成長のための新規導電性基板を創製することを目標とする。このために、「SiCと非酸化物セラミックス群の共晶系融液凝固過程の解明」および「SiC(111)と完全に整合する共晶系単結晶/単結晶コンポジットの一方向凝固プロセスの構築」を重点課題とする。これらの課題に対し、SiCと高融点非酸化物セラミックスの共晶融液からの特異組織の形成と結晶方位関係を制御した単結晶/単結晶コンポジットの育成原理を構築する。これにより、新しいデバイス設計やMEMS技術などの広い展開力を持つ導電性コンポジット基板を創出する。 平成28年度は、アーク溶解によりSiC-CrB2を溶融凝固し、仕込み組成が微細組織、構成相に及ぼす影響を調べた。SiC組成が20mol%をアーク溶解したとき、組織サイズが数100 nmの微細な迷路状組織の共晶組織が形成した。SiC組成が20 mol%以上でアーク溶解した試料は、数ミクロンサイズのSiC初晶とSiC-CrB2共晶組織が形成した一方、SiC組成が20 mol%以下では、CrB2初晶とSiC-CrB2共晶組織が形成した。また、SiC-CrB2迷路状組織中のCrB2では、凝固方向に対しておおよそ垂直にc面が配列された。これまでSiC-CrB2系の擬二元状態図は、自由エネルギー計算により共晶系であることは予想はされていたが、本研究により実験的に共晶組成や微細組織を明らかにした。これまで報告例のないSiC-VB2やSiC-TaB2系についてもアーク溶解により溶融凝固することを明らかにし、これらが微細な特異組織を形成することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶融凝固によるSiC-CrB2系の組織形成を系統的に調べ、微細組織中のSiCおよびCrB2がそれぞれ単結晶から成る共晶構造を明らかにし、これは本研究が当初の計画通りに進んでいるものである。また、SiC-CrB2融液からの凝固かていにおいて特異な迷路状組織を発現し、この組織中におけるCrB2が一方向に配向する。SiCの組織サイズは数10から数100 nmと微細であり、平成29年度は透過電子顕微鏡解析を用いることで、SiCとCrB2の結晶方位関係を明らかにする。これにより、新規SiCエピタキシャル導電性基板としての有用性を検討することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はSiC-CrB2共晶コンポジットの詳細な結晶方位関係を調べ、微細組織や電気的特性を明らかにする。また、これまで報告例のないSiC-VB2やSiC-TaB2系についてもアーク溶解により溶融凝固することを捉えており、これら新規の共晶系についても微細組織観察、結晶方位解析、および電気的特性評価を通して、一連のSiC-非酸化物共晶系についてSiCエピタキシャル導電性基板としての有用性を検討する。また、共晶コンポジットの基板としての品質を高めるために必要があれば、高温仕様の浮遊帯域溶融法により結晶方位・微細組織をよく制御した結晶育成法を適用する。
|
Research Products
(13 results)