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2016 Fiscal Year Research-status Report

“Silicon Pool”への分子刺激によるバイオミメティックシリカ合成

Research Project

Project/Area Number 16K14090
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

鳴瀧 彩絵  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10508203)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsナノ材料 / バイオミメティック / シリカ / ペプチド / 多孔体
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ケイ酸が濃縮された場である “silicon pool” を活用する新規概念に基づき、常温・常圧・中性pHで高度に構造制御されたシリカを得る生物模倣合成法を実証することを目的とする。ケイ酸を濃縮するペプチドP1、およびP1と複合化して鋳型構造を形成しつつ、ケイ酸の重縮合反応を触媒するペプチドP2を独自に開発し、ケイ酸溶液に段階的に添加してシリカを合成する。ペプチドを除去して得られるシリカが、鋳型構造を反映した多孔質構造およびキラリティーを持つことを明らかにする。
平成28年度は、二種のペプチドP1およびP2を設計し、委託合成して得た。P1、P2はそれぞれ30残基のアミノ酸から構成される。P1は両性高分子電解質であり,ケイ酸の重縮合を阻害する効果を持つことを期待した。P2はケイ酸の重縮合を触媒するアミノ基を多く含み、P1と相互作用してコイルドコイル構造を形成するように設計した。ケイ酸を含有するpH5.5の酢酸緩衝液にP1またはP2を添加し、モリブデンブルー法を用いて溶存ケイ酸濃度を測定したところ、ペプチドを添加しない場合と比較して、P1を加えた溶液の溶存ケイ酸濃度は測定開始からおよそ5時間後まで高く、P2を加えた場合には低くなった。設計どおり、P1はケイ酸の重縮合を阻害してペプチド周囲にsilicon poolを形成し、P2はケイ酸の重縮合を促進する効果を持つことが示唆された。さらに、円二色性スペクトル測定から、P1とP2の混合によるcoiled-coil構造の形成が示された。P1とP2を段階的に添加して得られた析出物の焼成後の試料において、窒素吸脱着測定によりヒステリシスループを検出し、試料にはメソ孔が存在することがわかった。得られた析出物の透過型電子顕微鏡像ではコイルドコイル構造の直径と合致する幅を持つ細孔が観察された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、ケイ酸が濃縮された場である “silicon pool” を活用する新規概念に基づき、常温・常圧・中性pHで高度に構造制御されたシリカを得る生物模倣合成法を実証することである。
設計した第1世代のペプチドが、期待したsilicon pool形成能を発現したため、ペプチドの再設計を経ることなくシリカ合成に移行することができた。Silicon poolを経由する合成法により、鋳型構造を反映した細孔の存在を確認することができた。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、silicon poolを経由して得られた多孔質シリカが、経由しない場合と比べて鋳型構造をより精密に転写しているかどうか、対照実験を通じて明らかにしていく。各条件で得られる試料について、窒素吸脱着測定による吸着等温線の比較、透過型電子顕微鏡による形態観察、29Si固体NMR測定による重縮合度の測定、円二色性スペクトル測定によるキラリティーの有無の評価を行う。Silicon poolの有用性が明らかになった場合には、シリカ合成時のペプチドとケイ酸の比や、2種のペプチドの添加のタイミングを変化させることで、構造周期性を持つ多孔質シリカの合成を目指す。

Causes of Carryover

本研究において大きな割合を占める費用は、ペプチドの委託合成に関わるものである。研究の進行状況を鑑み、次年度にもペプチドを委託合成して得る可能性があったため、初年度受領分の一部を次年度使用分として割り当てた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額の大部分は、ペプチド委託合成費および消耗品費に充てる予定である。残りを、研究成果発表のための旅費や、論文発表のための人件費(英文校閲)に使用する計画としている。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016 Other

All Journal Article (1 results) (of which Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 無機ナノ粒子と両新媒性高分子が織り成す自己集合と多孔体形成2017

    • Author(s)
      鳴瀧彩絵
    • Journal Title

      セラミックス(日本セラミックス協会誌)

      Volume: 52(1) Pages: 15-19

    • Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 二種のペプチドを用いたケイ酸の重縮合制御と多孔質シリカの合成2017

    • Author(s)
      鳴瀧彩絵, 浅野拓也, 大槻主税
    • Organizer
      公益社団法人日本セラミックス協会 2017年年会
    • Place of Presentation
      日本大学駿河台キャンパス(東京都千代田区)
    • Year and Date
      2017-03-17 – 2017-03-19
  • [Presentation] 機能性ペプチドを用いたバイオミメティックプロセスによる多孔質シリカの合成2016

    • Author(s)
      浅野拓也, Duc H. T. Le, 鳴瀧彩絵, 大槻主税, 中野裕美
    • Organizer
      第20回生体関連セラミックス討論会
    • Place of Presentation
      大阪大学銀杏会館(大阪府吹田市)
    • Year and Date
      2016-12-02 – 2016-12-02
  • [Remarks] 名古屋大学 教員詳細

    • URL

      http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100007263_ja.html

URL: 

Published: 2018-01-16  

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