2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14093
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
片田 直伸 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00243379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 悦司 鳥取大学, 工学研究科, 講師 (80610443)
菅沼 学史 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (90731753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゼオライト / マクロポーラスアルミナ / 細孔性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度,マクロポーラスアルミナの調製法を本研究のためにチューニングすること,そのようにして調製した平板状マクロポーラスアルミナのマクロ細孔にゼオライト前駆体を導入することを検討し,ある程度の成果を得た.しかしマクロ細孔の全てではなく一部に導入されたのみであったので,本年度はマクロポーラスアルミナの調製および後処理,またゼオライト前駆体の導入方法を改良し,マクロ細孔の全てにゼオライト前駆体を導入することを試みた. (1)マクロポーラスアルミナは従来は残渣の残るシュウ酸法で調製していたが,残渣の残らない方法を探索し,リン酸法によって残渣ない試料を合成した.ただし同時に他の条件を検討し,ゼオライト前駆体が入りやすいと考えられる,より大きく均一な細孔径を持つマクロ細孔を作ることも並行して行った.これらはpreliminaryな研究なので系統的に行ったわけではないが,最終的に200 nm程度で均一な細孔径を持ち,不純物を持たないマクロポーラスアルミナ薄膜が得られた.また厚さ(マクロ細孔の深さ)制御に必要な探索を行い,任意の深さの最高を作ることもできるようになった. (2)ゼオライト前駆体,ないしは種結晶を様々な条件で導入しようと試みた.アルミナのマクロ細孔を洗浄,乾燥する,洗浄・乾燥条件を変える,超音波を照射する,容器内での上面,下面の配置による影響を調べるなどしたが,これらの影響は決定的ではなかった. (3)ゼオライト前駆体は単純に濃度勾配に従ってマクロ細孔に入っているようで,浅い細孔を有するマクロポーラスアルミナの全てのマクロ細孔に前駆体を導入することができた. 一方で構造と酸強度の関係に関する高精度な計算を行っており,本年度に全試行が終了した.解析は今後行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細孔内にゼオライト作り,その機能を測定する計画であるが,細孔内にゼオライトを作る直前の段階までしか到達していない.ただしゼオライト前駆体を導入することに意外な困難があり,それを克服し,かつ制御因子を明らかにしているので,意義深い成果が得られていると考えている.理論計算については計画通り進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
マクロ細孔内にゼオライト前駆体が導入されている状態で,ゼオライト原料を追加して導入し,前駆体をゼオライト結晶に転換する方法を見出す.既に,前駆体が導入されている状態で水熱合成を行うと,原料が移動しうる細孔外ではゼオライト結晶が発生すること,その際にアルミナの構造が保たれることを見出しており,つぎには原料を導入することで細孔内でも結晶への転換が促進されると予測している.現在の条件で困難な場合には,細孔外でゼオライトができる条件を参考にして,細孔内の環境を細孔外に近づけるアプローチで結晶化を試みる. 量子化学計算では,本研究の初期に発見した,イオン交換サイトを押す力とねじる力の異なる化学的効果を定量的に明らし,発現メカニズムを立証する.
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