2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14097
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下嶋 敦 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90424803)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己修復 / ナノ複合体 / シリカ / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己修復材料とは、外部から受けた損傷を温和な条件下で自発的に修復可能な材料のことであり、様々な分野への利用が期待されている。シリカ系材料はガラスやコーティング等として広く利用されているが、脆弱性による微小なクラックやひびの発生が大きな欠点としてあげられる。本年度は、メソ構造制御されたシリカ-有機複合体薄膜におけるクラックの修復について検討を行った。シリカ源にテトラエトキシシランを用い、二鎖型のカチオン性界面活性剤存在下、エタノール溶媒中、酸性条件下で加水分解して得られた溶液をSi基板上にスピンコートすることによって、厚さ1マイクロメートル程度で透明なシリカ-有機メソ複合体薄膜を作製した。得られた薄膜はラメラ構造を有することがX線回折分析により示された。また、シリカ骨格の形成が固体29Si NMRにより確認された。この薄膜表面にシリンジ針で傷をつけた後、50-80度、多湿条件下にて一定時間静置すると、傷周囲に存在していたサブマイクロメートル幅のクラックの多くが塞がった様子が観察された。修復箇所断面の電子顕微鏡観察の結果、シロキサン骨格の再配列によってナノメートルレベルでクラックが修復されたことが示された。メソ構造を持たないアモルファスシリカ膜や、二次元ヘキサゴナルなどの他のメソ構造を有するシリカ-有機構造体薄膜では修復が見られなかったことから、ラメラ構造が重要な役割を果たしていると考えられた。このように修復材や触媒を添加せず、百度以下の比較的温和な条件下でシリカ系材料の自己修復を達成した例はこれまで報告されておらず、自己修復材料研究の新たな展開につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時の狙い通り、シリカの構造をナノレベルで制御することによって自己修復性が発現することを確認することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
修復メカニズムの解明と、より温和な条件下での自己修復の実現に注力する。また、自己修復コーティングとしての応用を目指し、複合体の機械的特性の向上についても検討を行う。
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Research Products
(2 results)