2016 Fiscal Year Research-status Report
電気化学プロセスを用いた自立型全固体Li二次電池の開発
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16K14100
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
入山 恭寿 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30335195)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 全固体電池 / 拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
Li+伝導性結晶化ガラス電解質(LATP)シートに電気化学的にLi+を挿入することで、電極活物質を創成できる。しかし、LATPの電子伝導性が低いために、電極活物質の形成領域が界面近傍のミクロン領域に限定されるという課題があった。 本研究では、電子伝導性を向上するために高温でLi+挿入反応を実施し、上記で電極活物質が創成される領域をLATPがシートとして自立する厚み程度(数十μm)まで成長させ、電気化学的に高容量電極シートを形成する手法を検討した。具体的には、LATPシートの片面に集電金属膜(Au)、反対面にLi+伝導性のガラス電解質(LiPON)とLi金属薄膜を積層したAu/LATP/LiPON/Liの積層体を作製し、LATPにLi+を挿入する反応を高温(~100℃)で行った。LATPにLi+が挿入されると青色に変色する現象が生じるが、デジタルマイクロスコープを用いた観察から、この青色変色領域が界面から沖合に成長する様子を捉えた。最終的に、150μm厚みのLATPシートの全域を青色に変色できることを明らかにし、高温では室温の40倍以上の容量が得られる全固体リチウム二次電池を創出できることがわかった。 一方、高温で作製した電極活物質を室温で充放電すると、得られる容量は室温で電極活物質を作製した電池と同程度の値となることがわかった。これは、電極活物質となった領域の電子伝導率が十分には高くないためであると考えられ、現在、この電子伝導率を向上するための検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は150μm厚みのLATPの全域を電極活物質シートに変換することは難しいと予想していたが、電気化学プロセスによる電極形成が予想以上に効率よく進行することがわかった。また、得られた全固体リチウム二次電池のサイクル特性も優れていることも1年目の成果で明らかにできたことは 当初予定以上の結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、電気化学プロセスを用いたLATPからの電極活物質は、高温で成長反応を行うことでLATPが自立する程度の膜厚で全域に成長できる。その充放電サイクルも安定している。一方、電極活物質を形成しても、それが室温に戻ってしまうと容量が大きく低下するという課題がある。即ち、電極活物質の電子伝導率を向上する必要がある。 電子伝導性を向上する指針は様々に考えられるが、LATPの結晶中のLiを一部遷移金属に置換した材料が有用と推察される。H29年度は、LATPシートが有する低抵抗な粒界抵抗の特性を活かしながら、遷移金属をドープした材料の開発を進める。
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