2016 Fiscal Year Research-status Report
カリウムイオンキャパシタ用炭素電極と電解液に関する研究
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16K14103
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
駒場 慎一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (20302052)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キャパシタ / 電気化学 / インターカレーション / カリウムイオン電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究室がこれまで実績を上げているリチウムイオン電池およびナトリウムイオン電池用の電極活物質および電解質用の新材料に関する研究を発展させて,カリウムイオン電池の研究へ展開した.すでに2015年の我々の学術論文で,黒鉛がカリウム電池中で可逆インターカーレション応答を示すこと,さらに炭酸エステル系電解液中では,リチウムよりもカリウムの方が低い電位を示すため,高電圧な全電池構成の可能性を報告している.本研究はこれらの成果をさらに発展させるものであって,2016年には黒鉛負極と鉄系錯体正極の電池作動を実証して論文発表した. 具体的には,カリウムイオン電池用炭素負極について電解液添加剤の効果を調査し,さらに,その電解液のイオン導電性を調査した.その上で,黒鉛材料および電極用結着剤について調査して,それらの電気化学特性を調べた.合わせて電極表面の不動態被膜の効果と構造についても解析した. さらにキャパシタ作動の関連調査として,鉄系正極と組み合わせたカリウムイオン蓄電池の実証に成功した.これはリチウムイオン蓄電池の開発を基礎として,リチウムイオンキャパシタが開発された経緯を基に,本研究でも電池作動の作動を基礎知見として,キャパシタ開発を並行して行う計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果を基に,世界にさきがけてカリウムイオン蓄電池の実証を行えたことは評価できると考えている.さらにキャパシタとしての作動を想定した検討が必要であり,当初の計画に沿った研究を実行する必要がある.以上の状況から,おおむね順調に研究が進んでおり,29年度もさらに注力して研究する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
黒鉛以外にハードカーボンやソフトカーボンといった各種炭素材料をカリウム電池に適用する検討を行う.さらに,鉄系錯体材料を正極とした全電池構成で,エネルギー密度を向上させる材料の組み合わせを実証する.また電解液についても負極表面の不動態特性と長寿命化を念頭に置いた検討を昨年から進めており,今後,学会や論文での成果発表を行いたい.同時に,活性炭を正極に用いたカリウムイオンキャパシタのセル設計および充放電作動の実証に取りかかる.
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Causes of Carryover |
使用予定だった電池試験薬品の金額が小さかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用予定の電池試験薬品として有効に使用する計画である
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Research Products
(4 results)