2016 Fiscal Year Research-status Report
導電性高分子PEDOT/電極間接触抵抗の大幅な低減による有機ペルチェ冷却素子開発
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16K14105
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
桐原 和大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 主任研究員 (70392610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 敬雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 研究グループ長 (40281646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 導電性高分子 / 接触抵抗 / 熱電変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい熱電変換材料として注目される導電性高分子PEDOT:PSSについて、その高出力化のボトルネックの1つである、金属電極界面での高い固有接触抵抗を従来の値の1/10000にするための、電極界面の評価技術確立、構造設計・接合技術改良に取り組んでいる。28年度は、PEDOT:PSSと電極の固有接触抵抗の効率的・定量的な測定技術を確立し、その計測結果をもとに、固有接触抵抗増加の一因と考えるPEDOT:PSSと電極の界面劣化の機構とその防止策の具体案を検討した。 まず、本研究の出発点として、PEDOT:PSSと金属電極の固有接触抵抗を定量的に測定する技術を確立した。印刷デバイス等への実用化を念頭に銀ペーストをPEDOT:PSS上に既定の電極面積及び電極間距離で電極形成するためのマスク加工・ペースト塗布条件を最適化するとともに、伝送線路法を用いた固有接触抵抗測定の装置を立上げた。これにより、最適な塗布条件で固有接触抵抗が100000マイクロオーム平方センチメートル前後の値であり、数週間後には1桁以上高くなる様子を定量的に確認できた。さらに、製膜後のPEDOT:PSS表面を洗浄して余分なPSSを除去してみると、電極形成時の固有接触抵抗は従来の値の1/100である10000マイクロオーム平方センチメートル前後であることが分かった。この結果から、PSSの析出を防止しつつ、電気伝導を担うPEDOTと金属との強固な化学結合形成を有する新規の界面形成の具体的なアイデアを検討し、当初計画通りの案としては、電極表面の単分子膜形成、グラファイト等のナノカーボン中間層の挿入について、試作を開始した。また、当初計画に無かった新規のアイデアとして、レーザー光を利用した界面形成技術の着想に至り、光照射実験の準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに、PEDOT:PSSと電極の固有接触抵抗の効率的・定量的な測定技術を確立したこと、電極表面の単分子膜形成やナノカーボン中間層の挿入について試作を開始したことにより、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した固有接触抵抗測定技術を用いて、28年度に試作を開始した電極界面の劣化防止策の効果を定量的に確認する。効果が得られた場合には、界面の分光分析実験によってエビデンスを固めて論文投稿の準備を行う。さらに、新規アイデアであるレーザー光による界面形成についても固有接触抵抗低下の検証を行う。これらの技術を最適化したうえで、最終目標であるペルチェ効果の実験データを得る。
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Causes of Carryover |
研究開始当初の計画に無かった接触抵抗削減の新規なアイデアとして、レーザー光を利用した界面形成技術の着想に至った。画期的な技術と考えられるが、光照射実験の装置部品の検討に時間を要し、部品調達に至らなかったため次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の早期に光照射実験環境を整備し、当初計画時の単分子膜形成やナノカーボン中間層との複合化による接触抵抗の大幅削減を試みる。
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Research Products
(1 results)