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2016 Fiscal Year Research-status Report

固体の振動現象を支配する群構造の特定

Research Project

Project/Area Number 16K14117
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

垂水 竜一  大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30362643)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords共鳴振動 / 磁性点群 / 非線形振動 / 高調和振動
Outline of Annual Research Achievements

これまで,固体の振動現象は点群と呼ばれる群構造を用いて記述されてきた.これは,固体の示す巨視的な物性はその点群に従うことを要請したノイマンの原理に従うものである.実際,この原理はこれまで微視的な分子振動から巨視的な弾性体の振動に至るまで,振動体の持つ点群対称性に応じて振動モードを分類することを可能としているが,当研究グループによる近年の非線形弾性体に対する共鳴振動解析によって,点群を用いた振動解析は非線形効果によって励起される高調和振動の対称性解析に適用することはできず,これには点群に時間反転操作を加えて一般化した磁性点群の導入が不可欠であることが指摘されている.そこで本研究では,磁性点群を用いた振動対称性が非線形弾性体の共鳴振動解析に限らず,より一般の振動現象についても適用可能であることを検証することを目的としている.

今年度は,当初の研究計画に従って,二次元非線形分子に対する振動解析を行った.具体的には,非調和相互作用によって振動する8個の質点からなる二次元分子モデルを考えて,その初期値に線形化したモデルの共鳴振動変位(系の固有ベクトル)を与え,その後の時間発展過程を数値計算によって解析した.その結果,解析を行った全ての振動で非線形効果による高調和振動の励起が確認された.そこで,得られた非線形振動へバンドパスフィルタを施し,基準振動の整数倍の振動数を持った高調和振動を個別に抽出して可視化を行った.その結果,高調和振動の対称性は磁性点群によって予測されたものと完全に一致することが明らかとなった.この結果は,当初の予測通り,振動現象が本質的に磁性点群により支配されることを示す格好の証左である.これは当初の予想通りの研究成果であり,次年度はこの結果を更に深く理解することを目指し,理論的な立場からの研究を進める予定である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は,当初計画していた研究をほぼ予定通り達成することができた.計画の立案段階では,予定外の振動対称性が現れた場合には大きな遅延が生じることを覚悟していたが,幸いなことにそうした心配は杞憂となった.

Strategy for Future Research Activity

今年度の研究遂行にあたって,特に大きな問題点は見当たらず,研究計画にも変更は必要としないことから,次年度についても当初の計画通りに研究を進める予定である.本研究にとって,次年度は大きな山場である.次年度は,過去に得られている非線形弾性体(連続体)の共鳴振動現象と,今年度の研究によって得られた非線形分子振動(離散構造体)の共鳴振動現象が,ともに磁性点群によって支配されていることを理論的に示す必要がある.この点こそ本研究が挑戦的萌芽である所以である.今年度の研究成果を最大限に駆使して,磁性点群による振動現象の統一的記述を確立したい.

Causes of Carryover

研究計画時には,今年度後半に大型計算機の購入を予定していた.しかしながら,予定していた計算の一部は既存の計算機でも遂行できたことに加えて,次年度であれば,当初予定よりも性能の高い計算機の購入の目途が立ったことから,計算機の購入(予算200万円程度)を次年度へ先送りすることにした.この予算は,本研究課題の予算総額の大部分を占めることから,支出執行計画は数字上は大きく変更することになった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記の通り,計算機の購入年度が変更されるため,支出執行計画は大きく修正されるものの,実態としてはその購入を半期先送りしたに過ぎない.また,この円滑な予算運用によって,より高性能な計算機の購入が期待され,当初研究計画への影響もほとんどない.そのため次年度の使用計画としては,当初の計画とは異なって計算機の購入が追加されるが,その他では大きな変更はない.

  • Research Products

    (7 results)

All 2017

All Journal Article (2 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 古典弾性理論における二つの近似とその弊害~固体の共鳴振動解析を通して~2017

    • Author(s)
      垂水竜一
    • Journal Title

      計算数理工学レビュー

      Volume: 2017年1号 Pages: 1-9

  • [Journal Article] 固体の共鳴振動理論の深化と展開2017

    • Author(s)
      垂水竜一
    • Journal Title

      学術の動向

      Volume: 22 Pages: 26-31

  • [Presentation] 古典弾性理論における二つの近似とその弊害~固体の共鳴振動解析を通して~2017

    • Author(s)
      垂水竜一
    • Organizer
      計算数理工学フォーラム
    • Place of Presentation
      大阪大学吹田キャンパス
    • Year and Date
      2017-03-24 – 2017-03-24
    • Invited
  • [Presentation] ひずみ勾配弾性理論に現れる弾性定数テンソルの一般線形群の下での既約分解2017

    • Author(s)
      小林舜典, 垂水竜一, 渋谷陽二
    • Organizer
      日本物理学会春季大会
    • Place of Presentation
      大阪大学豊中キャンパス
    • Year and Date
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [Presentation] 二次元分子モデルの非線形共鳴振動とその対称性解析2017

    • Author(s)
      中村 隼一,垂水 竜一,渋谷 陽二
    • Organizer
      日本機械学会関西支部第92期定時総会講演会
    • Place of Presentation
      大阪大学吹田キャンパス
    • Year and Date
      2017-03-13 – 2017-03-14
  • [Presentation] 非線形弾性体の共鳴振動とグリューナイゼン定数の推定2017

    • Author(s)
      垂水竜一, 渋谷陽二
    • Organizer
      日本物理学会春季大会
  • [Presentation] ひずみ勾配弾性体のフォノン振動モードとサイズ効果2017

    • Author(s)
      木村雄大, 垂水竜一, 渋谷陽二
    • Organizer
      日本物理学会春季大会

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Published: 2018-01-16  

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