2016 Fiscal Year Research-status Report
誘導加熱を用いたジルコニアセラミックスの積層造形技術に関する研究
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16K14128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木崎 通 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任 (30771901)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 積層造形 / ジルコニアセラミックス / 誘導加熱 / レーザ / 焼結 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジルコニアセラミックス(イットリア安定化正方晶ジルコニア多結晶体,Y-TZP)は高硬度,高破壊靭性値を併せ持つ高強度セラミックスである.本材料は歯科補綴物の材料として期待されている.現在ジルコニア製の歯科補綴物を製造する際には半焼結体を除去加工により成形し,最終的に本焼結している.本焼結工程は長時間であることに加え,材料の体積が20%程度収縮するため,形状精度を確保することが困難である.そこで本研究では粉体を層毎に焼結しながら積層することで,成形時間の短縮,精度の向上を目指している.本年度は本提案手法の基礎となる技術の調査を主に実施した. Y-TZPという材料は1000℃以上で導電性を有するようになる.高温環境下においては誘導加熱によりY-TZPを加熱することが可能となる.提案手法である“渦電流焼結法”はこの原理を利用している.Y-TZPは常温では導電性を有さないため,レーザを用いて局所的に高温にして導電性を発現させる必要があった.そのために使用するレーザとして,Y-TZPの光吸収特性を考慮して波長10マイクロメートル程度のCO2レーザを用いることとした.当研究室で以前から保有していた小型の誘導加熱装置(800 W)を用いてジルコニアブロックの加熱を試みたが,発熱させることができなかった.そのためより大きな出力の装置を準備する必要があると考えられる. また本研究では焼結前の粉体を効率的に凝集させるために静電気力を用いる.粉体の凝集に関しては平成29年度に具体的な検討及び実験を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は他の仕事との兼ね合いで十分な時間が確保できなかったため、やや遅れ気味である.本年度はテーマを整理し,遅れを取り戻すべく研究を遂行する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は誘導加熱装置を導入し,焼結に関する基礎実験を実施する.8月までに実験装置を準備する予定である.また静電気を用いた粉体の凝集に関しても検証実験を行う.
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Causes of Carryover |
昨年度は基礎的検討及び調査に時間を費やし,大型機器の導入を見送ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は8月頃までに誘導加熱装置(100-200万円)を導入する.
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