2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞内分子ダイナミクス診断のためのIn-Cell機能イメージング技術の開発
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16K14132
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柴田 隆行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10235575)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / チップ増強型ラマン分光法 / 細胞機能解析 / 細胞操作 / バイオMEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,生命機能機序の新たな知を創出し,高度先進医療技術・革新的医薬品開発における次世代産業化のイノベーションを支援するキーテクノロジーとして,細胞内の生体分子のダイナミクスな振る舞いを高い時間・空間分解能で多元的に解析・可視化するためのIn-Cell機能イメージング技術の開発を目的として実施した.平成28年度に得られた成果は以下のとおりである. (1)本提案技術のキーデバイスであるナノニードル搭載型バイオプローブのばね定数の低減を目的とし,Siカンチレバー内に形成する矩形流路の作製プロセスを確立し,先鋭化ナノニードルを搭載したプローブを試作した.これによって,従来のカンチレバーのばね定数を25分の1まで低減することが可能となった.(2)細胞膜穿孔時のストレス応答の定量的評価を行うための基礎的検討として,細胞内Ca2+測定試薬(蛍光試薬Fluo 3-AM)を用いて,HeLa細胞へのガラスピペット押込み時の蛍光強度の時間変化の測定が可能であることを示した.(3)自作の倒立顕微鏡組込み型顕微ラマン分光装置を用いて,Ag薄膜(厚さ30nm)を成膜した市販のAFMプローブ探針先端をHeLa細胞に穿刺し,細胞内の分子同定を行った(細胞内TERSイメージング).その結果,細胞膜の脂質,細胞内のDNA,タンパク質に起因するラマンスペクトルを確認した.さらに,細胞内の生体分子の動態解析を行い,経時変化が認められるピークを確認した.また,励起光(レーザ光)のパワーが10mW/cm2以下では,細胞へのダメージが抑制できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本提案技術のキーデバイスであるナノニードル搭載型バイオプローブの問題点の一つとして,ばね定数が大きく細胞の力学的特性を正確に評価できないという課題に対して,新規な矩形マイクロ流路(従来のばね定数の1/25を実現)の作製プロセスを確立し,バイオプローブのプロトタイプを作製した.また,自作の倒立顕微鏡組込み型顕微ラマン分光装置を用いて,AgコートAFMプローブ先端を細胞内に穿刺した状態で,細胞内分子動態の時間変化を長時間追跡可能であることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果に基づき,以下の研究実施計画にしたがって研究開発を行う. (1)前年度に引き続き,バイオプローブの作製プロセスの最適化を行い,加工精度と歩留まりの高い量産技術を確立する.(2)作製したバイオプローブを用いて,電場駆動力による蛍光DNAの吐出実験を行い,生体分子の高精度吐出制御技術としての有効性を検証する.(3)作製したバイオプローブを用いて,黄色蛍光タンパク質(YFP)発現プラスミッド(Venus)をHeLa細胞に導入し,遺伝子発現効率および生存率を精査する.(4)分泌マーカーであるヒト胎盤由来分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)をコードした発現プラスミドを細胞内に導入し,SEAPレポータータンパク質の発現活性を細胞内TERSによって解析し,本提案のIn-Cell機能イメージング手法の有効性を実証する.
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Research Products
(6 results)