2016 Fiscal Year Research-status Report
MEMS・高温クリープ成形融合技術によるSi薄膜立体成形と医療用触覚センサの開発
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16K14135
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
磯野 吉正 神戸大学, 工学研究科, 教授 (20257819)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高温クリープ立体形成 / MEMS / 逆解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、MEMS技術と高温クリープ成形加工との融合技術を確立することで、単結晶Si薄膜製ドーム型マイクロ触覚センサを開発することである。第一年度では、①単結晶Si薄膜製ドーム型マイクロ触覚センサの構造・機能解析、②簡易高温クリープ成形加工実験による成形加工条件抽出、③有限要素法による高温クリープ成形シミュレーションの研究実施項目を設定し、次の成果を得た。 ①単結晶Si薄膜製ドーム型マイクロ触覚センサの構造・機能解析・・・薄膜厚さ5um、ドーム直径320um、高さ30、60、150umの3種類の触覚センサモデルを構築し、x方向、z方向外力が作用したときの有限要素弾性解析を実施した。その結果、ドーム高さ60umモデルにおいて、x方向計測レンジ0.005mN~1N、z方向計測レンジ0.02~8N、および検出感度約1mV/Nのセンサ構造になることが予測された。本結果は、開発予定の触覚センサの性能を十分に満たすものであった。 ②簡易高温クリープ成形加工実験による成形加工条件抽出・・・直径300umのサファイア球を圧子として用いた高温パンチクリープ成形技術を確立した。具体的には、予めマイクロプロセス技術で作製した単結晶Si薄膜基板上に、サファイア球とアルミナ製治具を設置し、1050℃、6時間のパンチクリープ試験を行い、破壊することなく高温クリープ成形できることを確認した。 ③有限要素法による高温クリープ成形シミュレーション・・・高温パンチクリープ実験における試行回数を低減することを目的に、有限要素解析による弾塑性クリープ成形加工シミュレーションを実施した。②項の簡易高温クリープパンチ実験によって得られた変形量と本解析結果との比較に基づく逆解析から、1050℃におけるSi薄膜のクリープ定数と同指数を予測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初の計画どおり順調に研究成果を得ている。とくに、逆解析手法によって、単結晶Si薄膜に対するクリープ定数と同指数を同定することができたため、各種2次元パターンを有するSi薄膜に対して弾塑性クリープ成形加工シミュレーションが実施可能となった。これにより、Si薄膜の立体形成に適した2次元薄膜パターンを効率的に予測でき、今後のセンサ開発を加速させることができる点が大きな成果である。但し、現時点では(100)面の単結晶Si薄膜に限定していることから、(110)面や(111)面の同薄膜に対してもクリープ特性を同定していくことが望ましい。
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Strategy for Future Research Activity |
申請当初の計画では、第二年度において高精度空気静圧式アクチュエータを用いた高温クリープ成形加工システムの開発を予定していたが、交付金の減額によって新システム開発が困難な状況となった。そこで、第一年度に確立した簡易高温パンチクリープ加工を継続して実施し、触覚センサ開発を行うこととした。既に幾つかの予備実験によって、ピエゾ抵抗素子を集積したSi薄膜の立体形成に成功しており、センサ開発の目処は立っている。ただし、簡易試験であるため成形再現性に問題があり、成形再現性を高める更なる実験上の工夫が必要と考えられる。これに関しては、アルミナ製治具の構造変更によってこの種の問題の解決を図る予定である。
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